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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「真夏のマラソン」と日本人の「完走の美学」…ひたすらドラマを叫ぶメディアの愚

公開日: 更新日:

■目標が五輪なら棄権も選択肢

 マラソンは「オリンピックの華」といわれ、数々のドラマが語り継がれる。確かにドラマはあるが気になることもある。マラソンはそもそも晩秋から早春にかけて行われる持久走だ。オリンピックが最高のパフォーマンスを競う場なら、夏のマラソンにはそもそも無理がある。金魚を温泉に放すバカはいない。世界選手権しかり。苦しいからドラマが生まれる筋書きは、倫理上どうなのか。

 マラソンは忍耐力と意思の強さを示すことで人々の称賛を浴びる。特に日本では敗戦後の状況と合致し、遥かなゴールと世界復帰が重なって、“完走の美学”は至上の命題となった。実業団のプロだろうと市民ランナーだろうと、完走はマラソンの土台だが、挑戦の対象が二義的、人為的なら別な話になる。

 先にブダペストで開かれた世界選手権のマラソンは湿度70%の蒸し暑さの下で実施された。松田瑞生は脚の故障を抱えていたという。山下一貴は40キロ地点から両脚に痙攣を起こし、それでも全員完走した。2時間余りの健闘を否定する人は誰もいない。ただ、彼らは10月の五輪代表選考会のMGCにもエントリーしている。目標が五輪なら棄権も選択肢だろう。

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