ベストセラー早読み
-
「アノニム」原田マハ著
民主化運動のデモで盛り上がる香港に住む高校生・張英才は、小さな頃から文字がすべて絵に見えてしまう難読症の青年。自らをアーティストと信じ、夜中にひとりキャンバスに向かうのが常で、アートで世界を変えたい…
-
「かがみの孤城」辻村深月著
安西こころは公立中学へ進学してすぐにクラスの女子からひどい仕打ちを受け、5月から学校へ行けなくなる。 悶々としていたある日、部屋の鏡が突然光り始めた。鏡は童話に出てくるような豪壮な城への入り…
-
「金融ジェロントロジー」清家篤編著
金融ジェロントロジー、すなわち「金融老年学」。「健康寿命」に加えて「資金寿命」も延ばし、「生命寿命」とのギャップをできるだけ縮小することが、超高齢社会に突入する日本の緊急課題だ。 慶応義塾大…
-
「月の満ち欠け」佐藤正午著
小山内堅は、石油元売りの中堅企業に勤める平凡なサラリーマン。同郷の梢と結婚して娘・瑠璃にも恵まれ、ささやかながら幸せな毎日を送っていた。しかし、突然交通事故で妻と娘を失い、たったひとり取り残されてし…
-
「遠く海より来たりし者」暖あやこ著
製薬会社の広報で社内報を担当していた外村薫は、できたばかりの社史編纂室に異動を命じられる。入社3年目の頼りない後輩、町田康と2人で、創立100周年を迎える社の資料を片っ端から集め始めるが、戦後間もな…
-
「素敵な日本人――東野圭吾短編集」東野圭吾著
近所の神社に初詣に出かけた夫妻が下着姿の町長を発見。すぐに警察に通報するが、なんともいい加減な対応の揚げ句、強引に犯人を仕立て上げようと夫妻に偽証を強要する。業を煮やした夫妻が、警察の見落としていた…
-
「果鋭」黒川博行著
事は一本の電話から始まった。 「堀やん? わしや。飯でも食お。出て来いや」 声の主は伊達誠一。着信音で起こされたのは堀内信也。2人はかつて大阪府警の刑事としてコンビを組んでいた。しかし…
-
「さよならの力」伊集院静著
ベストセラーエッセー「大人の流儀」シリーズ最新刊の本書は、人生で避けては通れない別離がメーンテーマ。 著者は、20代で17歳だった弟を、30代で27歳だった前妻を失った。悲しみや憤りから、す…
-
「芝公園六角堂跡」西村賢太著
芥川賞受賞作「苦役列車」の映画化にあたって「友ナシ、金ナシ、女ナシ。この愛すべき、ろくでナシ」というキャッチフレーズを奉られた北町貫多。その北町貫多シリーズの最新作品集。 有名な新人文学賞を…
-
「暗闘」山口敬之著
安倍政権の内幕を描いた前作、「総理」の続編ともいえるスクープ・ノンフィクション。今回は安倍外交に焦点を当てている。著者はTBS報道局、政治部、ワシントン支局長などを歴任したフリージャーナリスト。最近…
-
「がん消滅の罠完全寛解の謎」岩木一麻著
余命半年の宣告を受けた末期がん患者の病巣が、リビングニーズ特約の生前給付金を受け取った後にきれいに消えてなくなる――。 統計的に考えれば奇跡としかいえないそんな案件が立て続けに4例も起きた。…
-
「i」西加奈子著
アイはシリアで生まれ、生後間もなく父が米国人で母が日本人の夫婦の養子となり、小学6年生までニューヨークで育ち、その後日本へ移る。両親は共にリベラルで、アイが彼らとは血がつながっていないことを早くから…
-
「いまさら翼といわれても」米澤穂信著
累計200万部を超える人気青春ミステリー、神山高校「古典部」シリーズの最新刊。折木奉太郎、福部里志、伊原摩耶花、千反田える。古典部のメンバー4人が代わる代わる主役をつとめ、互いに助け合う。 …
-
「黒い巨塔 最高裁判所」瀬木比呂志著
主人公は、最高裁判所事務総局の民事局付になったばかりの笹原駿。東京地方裁判所民事部から米国大学の研究員を経験し、3年間の地方勤務を経て事務総局に赴任した彼は、今までとは全く違う、司法行政の世界を目の…
-
「住友銀行秘史」國重惇史著
戦後最大の経済事件といわれるイトマン事件から四半世紀が過ぎた。バブル経済の真っただ中、中堅商社イトマンが闇の勢力に食いものにされ、メーンバンクの住友銀行は巨額な損失をこうむった。当時のイトマンの社長…
-
「蜜蜂と遠雷」恩田陸著
3年ごとに開催される芳ケ江国際ピアノコンクールには世界中から精鋭が集まり、そのレベルの高さは折り紙付き。3次の予選を経て本選までの2週間、熾烈な競争が繰り広げられるが、物語は4人のコンテスタントに焦…
-
「何様」朝井リョウ著
直木賞受賞作「何者」は、男女5人の大学生が就活を通じて「何者」であるかを模索する青春小説。映画化され、間もなく公開される。本作は、「何者」のアナザーストーリー6編を収めた短編集。 「水曜日の南…
-
「みかづき」森絵都著
60年安保の翌年。千葉県習志野市の小学校で用務員を務める22歳の大島吾郎は、勉強がわからないという子供たちに勉強を教え始め、用務員室は「大島教室」と呼ばれるようになっていた。そんな吾郎に、教え子の蕗…
-
「戦争まで」加藤陽子著
ベストセラーとなった「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」の著者が、中高生に向けた授業の中で日本が戦争へと至った分岐点を読み解いていく日本近現代史の解説本。残されている数多くの史料や演説や統計資料な…
-
「旅の食卓」池内紀著
作者は食べ盛りを戦後の食糧難の時代に過ごした世代。だから、ただのうまいものエッセーとは訳が違う。「石狩川と鮭」から「屋久島の焼酎」まで、列島を縦断しながら、作者の中にある記憶や体験や文学的蓄積が、ご…