ベストセラー早読み
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「コンビニ人間」村田沙耶香著
古倉恵子、36歳独身。普通の家に生まれ、普通に愛されて育ったが、幼い頃から喜怒哀楽の感情が欠落し、周囲から奇妙がられていた。大人になってもそれは変わらず、両親は心配し、自分でも「治らなくては」と思っ…
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「上野アンダーグラウンド」本橋信宏著
江戸時代から現代にかけて、多くの人を引き付ける吸引力を持った町・上野。博物館や大学がある芸術や文化の聖地としての側面を持つ一方、社会の変動期におけるホームレスや浮浪児の居場所でもあり、都下有数のラブ…
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「ジニのパズル」崔実著
第59回群像新人文学賞を受賞し、今回の芥川賞候補にもなった。新たな才能の出現と注目される作者(チェシル)のデビュー作。 主人公のジニは、アメリカ・オレゴン州で絵本作家ステファニーのもとにホー…
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「陸王」池井戸潤著
埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は創業100年を超える老舗足袋業者。需要の落ち込みにこのままでは先がないと危機感を募らせていた4代目社長の宮沢紘一は、足袋の製造技術を生かした裸足感覚のランニングシュー…
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「希望荘」宮部みゆき著
妻の不倫が理由で離婚し、義父が経営していた会社も辞めて、家庭も仕事も失った杉村三郎は、東京都北区の借家に小さな探偵事務所を開いた。調査会社の調査員をやりつつ、自分でも思いがけず開業した探偵業だったが…
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「横浜1963」伊東潤著
オリンピックを翌年に控えた1963年の横浜。いまだ敗戦の影が色濃く残り、米兵が街を闊歩する。 この年、横浜港で若い女性の死体が発見された。凶器はネイビーナイフ。同じ手口の連続殺人事件の始まり…
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「ポーラースター☆ゲバラ覚醒」海堂尊著
時は1951年12月。ブエノスアイレス大学医学部在学中のエルネスト・ゲバラ・デラセルナは、友人のピョートルと一緒にオートバイで南米縦断旅行に出かける計画を立てていた。ところが、ひょんなことから恋人の…
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「星はらはらと」太田治子著
言文一致体の小説「浮雲」で、明治の文学界に登場した二葉亭四迷。エリートであったにもかかわらず、時代の風潮に違和感を覚えて不器用に生きた男でもあった。本書は、そんな二葉亭四迷に魅せられた著者が彼の生き…
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「夜を乗り越える」又吉直樹著
なぜ本を読むのか。なぜ文章を書くのか。「火花」はどのようにして生まれたのか。幼いころにまでさかのぼり、自身の文学体験を語り尽くした本。作家・又吉直樹は生まれるべくして生まれたのだと納得する。 …
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「コーヒーが冷めないうちに」川口俊和著
路地裏の地下にある喫茶店フニクリフニクラ。そこのある席に座ると、望んだ通りの時間に移動ができるという。ただし、そのためには面倒くさいルールが存在した。過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者に…
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「ハーバードの人生が変わる東洋哲学」マイケル・ピュエットほか著、熊谷淳子訳
西洋社会が取り組んできた政治社会思想は、ベルリンの壁崩壊後に新自由主義へとたどり着いた。しかし現実には、貧富の格差は拡大し、不満を抱える人たちが増えている。幸福と繁栄のために理性に頼るように教えてき…
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「硝子の太陽 R ルージュ」誉田哲也著
女性刑事・姫川玲子が活躍するシリーズの最新作。 池袋署から警視庁捜査1課に返り咲き、姫川班を率いる玲子は、世田谷で起きた一家惨殺事件の特捜本部に加わった。一家3人の死体を並べ、さらに肛門から…
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「マチネの終わりに」平野啓一郎著
新聞連載中から評判を呼び、終了時には「マチネロス」なる言葉が飛び交ったほどの話題作。 天才クラシックギタリストの蒔野聡史が運命の女性と出会ったのは、デビュー20周年記念コンサートの終演後。そ…
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「ままならないから私とあなた」朝井リョウ著
語り手・雪子は、ピアノが大好きな小学5年生の女の子。算数が得意で一人でいることも怖がらない薫と仲良しで、将来の夢を教え合っている。 背が高くて日直当番の黒板消しを手伝ってくれるワタナベ君のこ…
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「羊と鋼の森」宮下奈都著
17歳の高校生・外村は、放課後の体育館でひとり、ピアノ調律師の仕事を眺めていた。蓋の開いた黒い大きなピアノの中に、森があった。調律師が鍵盤を鳴らすと、羊の毛でできたフェルトのハンマーが鋼の弦を叩く。…
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「眩 くらら」朝井まかて著
葛飾北斎の娘、葛飾応為ことお栄が主人公。父と同じく、幼い頃から絵筆を持ってさえいれば幸せだったお栄だが、縁談を勧める母のしつこさに負けて同じ絵師に嫁ぐ。しかし、家事など一切無頓着なお栄は事あるごとに…
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「サブマリン」伊坂幸太郎著
ある日の早朝、無免許の19歳の少年・棚岡佑真の運転する車が暴走し、ジョギング中の男をはねてしまう事件が起こった。無免許の未成年者による死亡事故とあって家裁調査官が招集され、マイペースな行動で周囲を翻…
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「バベル九朔」万城目学著
主人公は雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら、小説を書いている。といっても、新人賞の1次選考も突破できない作品ばかり。電気、水道メーターをチェックし、殺鼠剤をまき、蛍光灯を取り換え、地味な管理人…
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「幸せになる勇気」岸見一郎 古賀史健著
アドラーの個人心理学の精髄を、悩める青年とそれに応える哲人との対話という形式で紹介し、100万部を超えるベストセラーとなった「嫌われる勇気」の続編。 哲人からアドラーの教えを受けたあの日を境…
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「プラハの墓地」ウンベルト・エーコ著、橋本勝雄訳
舞台は、19世紀末のヨーロッパ。主人公のシモーネ・シモニーニは、イタリア人の父とフランス人の母を持ち、祖父に育てられた希代の美食家。祖父譲りの激しいユダヤ人嫌いで、文書偽造の技術の腕を買われて、史上…