だから桑田真澄さんは伝説的な存在だった。PL学園の野球部員は授業中に寝るはずなのに…
PL学園の野球部員は基本的に学校に行くことは嫌いじゃない。なぜなら、学校だけが地獄の寮生活や先輩から解放される「安息」の時間だからだ。1年時は「仕事」が多過ぎて、ほとんど寝られないことを先生たちは知っているため、授業中に寝ていても怒られたことはなかった。
ただ、ある先生によれば、清原和博さん(西武)や立浪和義さん(中日)ら甲子園で優勝した先輩たちも、授業中は同じように寝ていたそうだが、特別な選手がいたという。
「桑田(真澄さん=巨人)だけはいつも起きとった。寝ていたのを見たことがない。努力は報われるもんや」
1年夏からエース格として甲子園優勝を果たした桑田さんはだから、PL学園の後輩たちの間で伝説的な存在だった。
貴重な“睡眠時間”となる授業が終わると、寮までの2キロの道のりを走って帰る。これは競走で、最後から3人は「ベベスリー」といわれ、「先輩の雑用」という罰が待っていた。
さらに「1年グラウンド5周」という競走があり、文字通り、グラウンドを5周して1位のみが抜けられる。1位以外は延々とグラウンドを走り続けないといけない。地獄のランニングだ。