人の使命感を描くも…「最後の忠臣蔵」ラストの切腹に疑問

公開日: 更新日:

2010年 杉田成道監督

 14日は赤穂浪士の討ち入りの日。元禄15(1702)年のこの日、大石内蔵助ら四十七士が吉良上野介を討ち果たした。本作は生き残った赤穂侍の物語。池宮彰一郎の小説を映画化した。

 討ち入りから16年。大石の使用人だった瀬尾孫左衛門(役所広司)は大石の娘の可音(かね・桜庭ななみ)と暮らしていた。彼は討ち入り前に大石から「わが子を頼む」と命じられて逐電、以来可音を守ってきた。ある日、人形浄瑠璃を見物した可音は豪商・茶屋四郎次郎の息子から求婚される。だが孫左衛門に恋心を抱く可音は決心できない。そんな中、同じく生き残りの寺坂吉右衛門(佐藤浩市)に可音の存在を知られ、孫左衛門は刀を抜いて追い払う。やがて可音は婚礼を承諾し、茶屋家に向かうのだった……。

 作品から漂うのは武士道の忠義心よりも人の使命感だ。孫左衛門は敬愛する大石の忘れ形見を命がけで守ろうとし、親しい者にも自分たちの素性を明かさない。仲の良かった吉右衛門さえ斬ろうとする。前半はこうした地味な忍耐の描写が続くが、忠臣蔵を土台にしているため見応えがある。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末