著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<79>早貴被告は急に口を開くと「社長が大下さんに3000万円を渡してくれって」

公開日: 更新日:

 冗談めかして言った。私はいまだに早貴被告がなぜ突然このように言い出したのか分からない。大下さんを丸め込んで余計なことを言わせないように考えたのではないかと疑っている。

 これは事件のカギとなる重要なポイントだ。彼女は言われたら困る何かがあったから大下さんにすり寄り、そして3000万円のエサをぶら下げた、と私は思うようになった。

 5月24日に遺体となって発見されたドン・ファンは解剖のために100キロも離れた和歌山市内の病院に運ばれた。25、26日は自宅に遺体はなく、定宿のホテルが満杯だった私はドン・ファン宅のリビングに泊まっていた。この2日間、大下さんと早貴被告は事件の経緯について何度も何度も私に聞かれたのである。仕事を終わって駆けつけたマコやんもリビングで一緒に聞いた。

 もう一度、大下さんの話を紹介しよう。

「私が自宅に帰ってきたのは夕方7時半ごろ。早貴ちゃんはお風呂上がりだったようで髪が濡れていて、リビングでテレビを見ていた。TBS系の『モニタリング』の特番だった」「8時半ごろに『ガタン』と2回物音がしたので『早貴ちゃん、社長が呼んでいるんじゃないの』と言った。結局10時すぎに早貴ちゃんは2階に上がり遺体を発見、慌ててリビングにいる私を呼び、一緒に2階に上がった」

 これがマコやんを含めた4人でいる時に彼女が言ったことだ。

 一方で早貴被告の話は曖昧だった。 (つづく)

【連載】紀州のドン・ファンと元妻 最期の5カ月の真実

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