著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<82>早貴被告は家政婦への3000万円の支払いを拒否した

公開日: 更新日:

 2018年の10月になって、私は大下さんと早貴被告と都内で会い、3人で食事をする機会があった。私の隣に大下さん、向かい側には早貴被告が腰掛けている。

「ここに一筆書いてくれるかな」

 食事が終わる頃になって私はカバンからA4の白紙を取り出して早貴被告に手渡した。

「何をですか?」

「大下さんに3000万円を贈ります。と書いてくれればいいよ」

 早貴被告の顔が曇った。

「それは弁護士さんに相談しないと……」

 つぶやいた。

「いや、そうではないだろ。野崎幸助さんが生前、大下さんに1000万円をあげると言っていたことは誰もが聞いている。でもキミは、ドン・ファンの遺体が自宅に帰ってくる前日に、彼が大下さんに3000万円をあげると言ってたと証言したよね? だから、それをその紙に書いてくれれば、いいんだよ」

 これは私が独断でやったことで、大下さんとは一切相談をしていなかった。早貴被告は私と目を合わせることはなく、下を向いたままで動かない。

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