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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

日産ターンアラウンド説明会を直撃!(後編)キモはSUV化する新型リーフと第3世代e-POWERの出来映えだ

公開日: 更新日:

新型リーフのカッコはイマドキ

 日産の今後を占うべく厚木のテクニカルセンターで3月末に行われた「日産ターンアラウンド(事業再生)説明会」。1~2年後をメドに出てくる16車種+αの新商品群をエスピノーサ新社長自らがお披露目したわけだが、前回記者が指摘したのはなんだかんだで「新型リーフ」と「第3世代e-POWER」の出来次第ということだ。

 なぜなら、今の不振の一端は、意義こそあったがEV販売の伸び悩みと世界的なHV戦略の遅れにあるからだ。どちらもカルロス・ゴーン時代の仕事であり、EVビジネス参入自体はテスラがそうなように、間違っていなかったかもしれないが、大成功とは言いがたい。一方HV開発の一時凍結は、結果だけを見れば悪手だった。今後はこの2つのジャンルでどう挽回できるかが1つのキモになる。

 まずチェックしたいのは新型リーフだ。ご存じ、2010年にほぼ世界初の量産バッテリーEVとして市場投入されたモデルで、恐らく日本でも年内には第3世代が登場する。

 今回厚木で見れたのは新型のモックアップだけで車内に入れなかったし、サイズも電池容量もモーター出力も不明。だが、分かった範囲で分析すると、カッコはイマドキだ。エクステリアは見れば分かる通りに、従来のハッチバックスタイルを捨てて遂にクロスオーバーSUV化。

 フロントマスクは新世代のデジタルVモーショングリルで、随所がウロコのごときLEDディテールで彩られ、ムードは新世代キックスに少し似ている。リアのLEDコンビランプは浮き上がるような未来派ホログラムデザインだ。

やはり最大の懸念は価格

 さらに上級グレードだろうが19インチの大径ホイールを履き、2本と3本(日産の意味か?)のストライプが並ぶオリエンタルな水引デザインを採用。

 インテリアはちょっとEVのサクラ風上質ホワイト内装が選べ、大きなパノラミックガラスサンルーフも付けられる。

 骨格はルノーと共同開発したEV専用のCFM-EVプラットフォーム。スペース効率は上昇し、室内が広くなり、走りの質感もあがる。

 一方、電池に関しては未知数だが、恐らく現行の40~60kWhの容量からさほど増やせないはず。代わりに今回SUV化していながら、cd値で0.25と向上した空力ボディと先進EVアーキテクチャーで航続距離を稼ぐのだ。パワートレインは日本のジャトコと共同開発したモーターやインバーター、ギア類を一体化したeアクスル。このあたりの高効率がアドバンテージで少ない電力でいかに走れるかがキモになる。

 最大の懸念は価格で、本来的にはBYDやヒョンデのように50kWh前後の電池を積みつつ400万円台の車両価格を実現したいが、そこは日本メーカーの限界、おそらく難しいだろう。現実的にはほどほどのコスパと今まで以上の革新的デザインと作りが武器となる。

 もう一つの武器たる第3世代e-POWER。新規開発の新型1.5ℓ直3エンジンを核とする日産流シリーズハイブリッドで、欧州日産のキャシュカイと組み合わせたプロトタイプに乗ることができたが感触は良かった。

 キャシュカイは全長4.4m台のコンパクトSUVで、現在は1.5ℓ可変圧縮比エンジンを使った第2世代e-POWERが搭載されている。

第3世代e-POWERの実力は?

 それと乗り比べてみたのだが、ぶっちゃけ第2世代e-POWERも第3世代e-POWERも、エンジンのパワー&トルク自体は140kWに330Nmで変わらない。バイブレーションの元となるエンジンも同じ直列3気筒。

 だが第3世代の方がなぜか振動が少なく、静粛性も高いのだ。またここはモーターや駆動系の出力特性だと思うが、出足から滑らかで新型の方がパワフル。

 実はこれまたジャトコ製の「5in1」と呼ばれるモーター、ジェネレーター、インバーター、増速機、減速機を一体化させたeアクスルを使っており、このエネルギー伝達効率が良く、なおかつエンジンの熱効率も従来以上に高いのだ。

 結果、今までのe-POWER以上にすぐれた品質感と加速感、低燃費性能を実現する。燃費低減はモード走行で9%減、高速域で15%減というから中々のもの。

 あとはトヨタハイブリッドやホンダe:HEVにコスパでどこまで迫れるかだが、それは今後のお楽しみ。

 いずれにせよ、日産はEVでもハイブリッドでもやっと他社と競えるレベルのソリューションを持ち得たことになる。価格を含めた、生き残りの本当の勝負はこれからなのである。

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