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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

表現は公益を害するのか? キナ臭い空気が保守政党や世間に漂っている

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 ウクライナの「独立」と「自由」もそうだが、映画も表現の「独立と自由」は当たり前のことだ。今、自衛隊を国防軍と認める憲法に書き加える話まで、プーチンの侵略のせいで出てきたが、逆に「表現の自由」というのは数ある自由の中では、国家の仕事をする者たちには一番迷惑なものだ。現行21条で、集会、結社、言論、出版その他一切の「自由」は保障されているが、そこに公益や公の秩序を害する目的の活動や表現は認められないとする条文まで書き足されるようなキナ臭い空気が保守政党や世間に漂っている。

 国家の方針、例えば、沖縄米軍の「核共有」に反対するデモや集会はもちろん、国防軍が戦場に向かうことに抗議する「表現」も公益を害すると言われたら、NHKのドキュメンタリー番組もきっと作りにくくなるだろう。国の意向に逆らう表現は“慎め”“改めろ”と教科書検定でも書き直しさせられたし。

 沖縄返還から50年だが、沖縄の人々が最後まで日本政府に反対したのは「米軍が居座ったままの返還」だ。佐藤政府は核の密約付き「非核三原則」で手を打ったからだ。それでノーベル平和賞とは呆れた話だった。当時19歳の自分も基地付きには絶対に反対だった。今も思いは変わらない。

「オレらは16歳で鉄血勤皇隊になって本土の捨て石にされた。アメリカもヤマトもどっちもエネミー(敵)さ。今からでも追い出してやる。琉球共和国は独立するんだ!」と気炎を上げる沖縄ギャングと本土やくざの実録抗争ドラマなんて作れないか。アマゾンプライムは米国だし、企画も通らないかな。

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