本橋信宏
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本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

ジュリアナをバブルの象徴にする愚かさ

公開日: 更新日:

 またか……。

 バブル期を象徴するシーンとして、お立ち台で踊るボディコン娘たちがテレビに映し出された。

 カネまみれのバブル期(1986年11月から91年5月までの55カ月)を振り返る際に、ボディコン・お立ち台・ジュリ扇の3点セットは定番になってしまった。

 ジュリ扇は、鳥の羽根でできた大仰な扇子で、「ジュリアナ東京」という91~94年に存在した超人気ディスコでのお立ち台に上がったボディコン娘たちが誇らしげにあおった。

 勢いのあるユーロビートに合わせて踊る彼女たちは、土地と株とゴルフ会員権が天井知らずで値上がりする当時のヒートアップしたバブル期を象徴するものとして、今でもたびたびメディアで取り上げられる。

 だが、これは歴史的誤謬である。

 狂気のバブル期は91年5月にパチンと破裂。以後、長期のデフレ不況に陥る。

 ジュリアナ東京が、ウオーターフロントと呼ばれた港区芝浦に誕生したのは91年5月15日。お立ち台のボディコン、ジュリ扇が、しきりにメディアで取り上げられたのが92、93年。とっくにバブルははじけ、世の中は不況風にさらされていたのだ。

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