市川団十郎 16億円借金騒動
■1992年12月
昨年2月、他界した歌舞伎界の大名跡、市川団十郎。長男・海老蔵のスキャンダルなどお騒がせの一家だが、ことあるごとに取り沙汰されたのはバブル崩壊後の92年にかけて発覚した、12代目団十郎の16億円ともいわれた借金騒動だった。
85年に“30億円興行”ともいわれる襲名披露を行った団十郎だが、思ったほど収入は上がらず台所事情が逼迫(ひつぱく)しているというウワサが流れるようになった。茅ケ崎にある別荘跡地へのアパート建設計画が頓挫したことが報じられ、都内一等地にある敷地150坪の自宅は土地・建物ともに次々と根抵当権が付けられていったことも明らかになった。
借金の総額は16億円とも19億円とも。92年12月、返済に窮した団十郎(当時46)は担保物権の土地建物すべてを松竹に譲渡し、肩代わりしてもらうことになった。
原因は義父の事業。夫人の父親は不動産会社の代表を務めていてバブル絶頂期に積極的な事業展開を行っており、団十郎は知らないうちに保証人になっていた。だが、90年に脳出血で急死、事業は頓挫してしまう。