「倦怠期は避けられないんだ」“運命の女”と交際2年半、絶望に占領されるハイスぺ男
48歳、交際2年半で消えたもの
「冷酷と激情のあいだvol.199〜女性編〜」では、あえて結婚も同棲もしないスタイルで生涯を添い遂げると決めた恋人・カズトさん(48歳・仮名)とのレスに悩み始めた明美さん(46歳・仮名)の心情をお届けしました。
では、明美さんの恋人であるカズトさんは、今の関係をどう受け止めているのでしょうか。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「明美個人に対して特別な不満はありませんが、やっぱりどんな人と付き合っても、倦怠期やマンネリは避けられないんだなぁというのが素直な感想です」
冷静な口調で、淡々と話すカズトさん。恋人との今の関係は、穏やかではあるものの情熱的ではなく、交際当初に思い描いていた姿とはかけ離れたものだと打ち明けます。
「明美とは知人が主催していた会合で知り合ったんですけど、最初のうちは、それはそれは楽しかったですよ!
僕はいわゆる“ハイスペ”の部類に入ってしまうので、経済力目当ての婚活女性が群がってきてウンザリしていたときに、明美と出会いました。
お互いに自立した関係を望んでいる価値観も一致して、あっという間に意気投合して恋人同士になったんです」
しかし交際を続けておよそ2年半が経過した今、当初のような気持ちは薄れ、言いようのない絶望感にとらわれているとカズトさんは話します。
いずれ別れ話をするのでは
「明美となら、マンネリとは無縁のカップルになれるんじゃないか…って期待していたんですけど、ダメでしたね。
今やすっかりレスカップルになっちゃいましたし、一緒にいてもワクワクもドキドキもありません。
いますぐに別れたいか? と聞かれれば、答えはノーですけど、こういう状況になってしまった以上は、そう遠くない未来に別れ話をすることになるんじゃないかなって予感もあります。
すごく残念ですけど、もうこうなっちゃったら、何をどうしたら改善できるのかまったくわからないんですよね」
ともに完璧主義者的な思想を有すると自覚のあるカズトさんと明美さんは、ふたりの関係について、老後にわたるまで長期にかけての計画を入念に練ってきたとのこと。
しかし全てが「計画倒れ」になりそうな現実には、カズトさんは絶望感すらも抱いているのだとか…。
もう女性として見られない
「結局のところ、マンネリや倦怠期を避けるのは、無理ってことなんでしょうね?
僕は今まで、自分と似た性格の女性とは付き合ってこなかったから、明美は僕と本当によく似ているなぁって感心していました。
まだ40代ですが、すでに老後のパートナーシップ計画まで気にしているところもそっくりでしたし、ふたりのあいだに新鮮さが失われたらダメだからって工夫をしたいという価値観も同じでしたから。
だからこそ、今回はうまくいくだろう、このまま60代、70代になっても精神的、経済的に自立し合う“いい関係”がキープできそうだなって期待していたんですが…。
正直なところ、もう明美のことを女性として見られなくなってしまった自分がいるので、老後まで一緒にいるってことはないでしょうね」
「ただただ絶望」
苦悩に満ちた表情で、こう話すカズトさん。他に気になる女性がいるわけではないものの、明美さんを自発的に抱くことも、もうないと悟っていると話します。
「明美に申し訳ないとか、そういうセンチメンタルな気持ちは、1ミリもないですね。今は、ただただ絶望ですよ。
あんなにふたりでリスクヘッジを頑張ったのに、結局はこれまでの恋愛と同じようにマンネリな倦怠期に入って、恋人への関心すらも薄れてしまった。
僕は、恋愛が向かないのかもしれないですし、男女である以上、これは避けられないことなのかもしれないし、それは僕にはわかりません。
だけど明美と別れた後には、もう恋人は作らないと思いますね。
どんな恋愛も結局は、こうやって終わりを迎えてしまうのなら、もうそこに割く時間も労力も、僕にとっては“無駄なもの”って結論に至りそうです」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)