著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

「見えざる3月事件」がその後の全ての事件の元凶となった

公開日: 更新日:
東條内閣のあとに組閣された小磯国昭内閣の記念写真(1944年7月22日、首相官邸)/(C)共同通信社

 この3月事件は軍内の反対派によってつぶれたが、宇垣陸相、小磯軍務局長らの首脳陣が軍主導の国家改造を行うという空気を生んだ。最後まで決行を主張したのは民間側で実働部隊を動かすはずの大川周明と清水行之助であった。彼らが最終的に断念したのは侯爵の徳川義親の説得によった。その徳川に説得…

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