ピンポジションは試合展開を左右するだけではなく、プロの技術や心理戦の妙味などをファンに伝えられる
プロゴルフは興行ですから、見ているファンにとっておもしろい試合にしなければなりません。入る、入らないでスコアが決まるパット戦より、最終日は緊張感の中で池の縁ギリギリを狙う勇気あるショットを求める。そんな展開が理想的です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
勇気を持ってピンを攻める者とリスクを避ける者との違いが明確になることで、プロの技術や心理戦の妙味などをファンに伝えることもピン位置を決める者の大事な仕事です。
マスターズ最終日の16番は毎年グリーン左奥にカップが切られます。ゴルフファンなら2005年のウッズのチップインバーディーは記憶にあるでしょう。第1打をグリーン左奥に外し、ピンのはるか右上に打ったアプローチは下り傾斜で戻り、カップの縁に止まるも、最後のひと転がりでカップイン。そんなドラマを演出するのも大会ディレクターの腕次第です。
若い選手がどんどん海外に出ていく時代。ファンも「ピン位置が選手を育てる」という視点で試合観戦してみたらどうでしょうか。