「脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!」長谷川嘉哉著

公開日: 更新日:

 脳神経内科専門医であり、毎月1000人の認知症患者を診察する著者は、認知症を遠ざけて脳を老化から守る方法として、35歳からの歯のケアを推奨している。

 なぜ脳を守るために歯が大切なのか。口に食べ物を入れて噛むと、歯の下の歯根膜が血管を圧縮し、脳に血液が送り込まれる。その量は、ひと噛みで3・5ミリリットル。市販の弁当などについてくる、魚の形の醤油入れの容量と同じくらいだ。噛むごとにあの容器いっぱいの血液がピュッと脳に送り込まれるのだから、よく噛む人の脳にはいつも新鮮な血液が届き、刺激を受けて活性化されることが分かるだろう。

 つまり、歯が弱くなったり抜け落ちて噛むことができなくなると、脳に送り込まれる血液量が少なくなるということ。認知症の高齢者は、健康な高齢者に比べて残っている歯の本数が平均3分の1しかないという調査データがあるが、これもなるほどとうなずける。

 自分はまだ高齢者ではないし、毎日歯磨きしているから大丈夫、と思う人もいるだろう。しかし、年齢を重ねたら歯のケアは変えなければならない。若い人の口の中にも歯周病菌はいるが、“普通の歯磨き”をしていれば、あとは高い免疫力でこれを抑え込むことが可能だ。年齢を重ねれば免疫力も低下し、口の中では歯周病菌が優勢になり、40歳を過ぎる頃から歯周病の発症率が増えてくる。歯を失う原因となる歯周病を防ぐには、35歳から徹底した歯のケアを行うことが不可欠だと、本書は提案している。

 磨き残しを防ぐ両手磨きや、1日1度の15分磨き、口内を洗浄する舌回しの習慣化など、脳の老化を防ぐ歯のケア方法も紹介。脳を若々しく保つ鍵は、歯であると心得よう。 (かんき出版 1180円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広島新井監督がブチギレた阪神藤川監督の“無思慮”…視線合わせて握手も遺恨は消えず

  2. 2

    ヤクルト村上宗隆「メジャー430億円契約報道」の笑止…せいぜい「5分の1程度」と専門家

  3. 3

    1年ぶりNHKレギュラー復活「ブラタモリ」が好調も…心配な観光番組化、案内役とのやり取りにも無理が

  4. 4

    回復しない日本人の海外旅行…出入国数はGWもふるわず、コロナ禍前の半分に

  5. 5

    故・川田亜子さんトラブル判明した「謎の最期」から16年…TBS安住紳一郎アナが“あの曲”を再び

  1. 6

    「リースバック」で騙される高齢者続出の深刻…家を追い出されるケースも

  2. 7

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  3. 8

    田中圭にくすぶり続ける「離婚危機」の噂…妻さくらの“監視下”で6月も舞台にドラマと主演が続くが

  4. 9

    千葉工大が近大を抑えて全国トップに 「志願者数増加」人気大学ランキング50

  5. 10

    三山凌輝活動休止への遅すぎた対応…SKY-HIがJYパークになれない理由