「木戸芸者 らん探偵帳」仲野ワタリ著
「木戸芸者 らん探偵帳」仲野ワタリ著
両国の芝居小屋で生まれ育ったらんは、役者の真似をして遊んでいるうちに男の声も出せるようになった。小屋番をしながら男手一つで娘を育てた父の死後、らんは座元に頼んで木戸芸者として働き始める。お得意の七色の声で往来を歩く人の足を止め、小屋に呼び込むのが仕事だ。
ある夜、座元のお使いで出かけたらんは辻斬りと目明しの源助が対峙する現場に遭遇。機転を利かせたらんは男の声を使い分け、助けがきたと思わせ源助を救う。翌日、子分の達吉を伴って芝居小屋まで訪ねてきた源助は、らんに探偵として彼の仕事を助けて欲しいと持ち掛けられる。引き受けたらんは、まずは例の辻斬りを捕まえるために源助らの夜回りに同行することに。
七色の声を持つらんの活躍を描く痛快時代小説。 (光文社 814円)