日本の国鳥に「キジ」が選ばれた理由

公開日: 更新日:

「世界の国鳥」水野久美・テキスト アフロ・写真

 国鳥とは、国歌や国旗のように、国のシンボル、象徴にしている鳥のことだ。さて、日本の国鳥をご存じだろうか。

 トキやタンチョウヅルなどを思い浮かべた人も多いと思うが、答えは「キジ」。

 日本固有種の美しい留鳥で、民話や童謡でもなじみがあり、オスは勇敢でメスは母性愛の象徴であることなどから、1947年に日本鳥学会がキジを国鳥に選んだという。

 国鳥はすべての国で定められているわけではなく、法律で定められたものから慣例的なものまで、選定機関も実はさまざまだそうだ。本書は、36カ国の国鳥を美しい写真で紹介しながら、それぞれの特徴やその国の自然と文化、そして人々との結びつきを解説したカラーガイドブック。

 世界で初めて国鳥を制定したのは、アメリカ。1782年、先住民に神聖な鳥としてあがめられていた「ハクトウワシ」が議会で選定され、パスポートや紙幣などにも描かれている。

 一方のイギリスでは、2015年に正式な国鳥を決める国民投票が行われ、1位になったヨーロッパコマドリを選定。

 中米グアテマラの国鳥は、宝石のヒスイに次いで珍重される幻の鳥「ケツァール」で、その名は同国の通貨単位にも用いられている。

 鳴き声が「キーウィ」と聞こえることから先住民マオリ族によって名付けられたのは、ニュージーランドの固有種「キウイ」。オスが卵を温めて子育てをすることから、同国では、いわゆる「イクメン」を「キウイハズバンド」と呼ぶという。

 国旗や国歌に触れることはあっても、なかなか、その国の国鳥を知る機会はない。しかし、国鳥について知れば知るほど、その国がぐっと身近に感じられる。何よりも、それぞれの美しい姿は、一見に値する。

(青幻舎 1600円+税)

「世界の国鳥」水野久美・テキスト アフロ・写真


【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人のW懸案「ポスト岡本和真&坂本勇人」を一気に解決する2つの原石 ともにパワーは超メジャー級

  2. 2

    反撃の中居正広氏に「まずやるべきこと」を指摘し共感呼ぶ…発信者の鈴木エイト氏に聞いた

  3. 3

    松本潤、櫻井翔、相葉雅紀が7月期ドラマに揃って登場「嵐」解散ライブの勢い借りて視聴率上積みへ

  4. 4

    遠山景織子 元光GENJI山本淳一との入籍・出産騒動と破局

  5. 5

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  1. 6

    だから高市早苗は嫌われる…石破自民に「減税しないのはアホ」と皮肉批判で“後ろから撃つ女”の本領発揮

  2. 7

    中居正広氏vsフジテレビは法廷闘争で当事者が対峙の可能性も…紀藤正樹弁護士に聞いた

  3. 8

    ユニクロ女子陸上競技部の要職に就任 青学大・原晋監督が日刊ゲンダイに語った「野望」

  4. 9

    吉岡里帆&小芝風花の電撃移籍で様変わりした芸能プロ事情…若手女優を引きつける“お金”以外の魅力

  5. 10

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及