著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

ソラシド本坊 “現代版蟹工船”で描いた下流芸人の心の叫び

公開日: 更新日:

お笑い芸人」といわれて私たちがイメージするのは、テレビに出ているごく一部の売れっ子だけ。それ以外の名もない芸人たちの“素性”はあまり知られていない。

 その大半は安いアパートに住み、その日暮らしの貧困生活を送っている。「プロレタリア芸人」(扶桑社)を書いたソラシドの本坊元児(37)もその一人だ。

 お笑いの仕事は月2回のライブ出演だけ。残りの28日間は建設現場などで肉体労働に精を出している。本坊はガリガリ体形の虚弱体質。それなのに、カネに困って体力勝負の日雇い労働に手を染めてしまったのが運の尽き。彼を待ち受けていたのは、とてつもなく過酷な労働環境だった。

 一緒に働く屈強な男たちには「向いてない」「仕事を変えろ」と冷たくあしらわれた。職人が使う専門用語が理解できず、見当違いの返事をしてドヤされた。解体工事では石膏ボードや断熱材の粉塵が皮膚に突き刺さり、かゆくてかゆくてたまらない。規定の防護服を着用せず、放射線を浴びた中性子フィルターの交換作業をしたこともあった。解体現場でコンクリ片の付いたアスベストをびっしり浴びた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動