「静かに死にたい」田村正和が赤裸々に語った“好々爺”生活
事実上の引退だろうが、「映画もテレビもやったし、舞台もやった。昭和から始まって、平成まで。もう十分じゃないかな」と語り、現役時代への後悔はなく、すがすがしい表情を浮かべていたという。ベテラン芸能記者の青山佳裕氏が言う。
「どんな人間も年を取り、老いはやってきます。二枚目で鳴らした田村さんのコメントからは、それを前向きにとらえ、俳優人生への幕引きを自ら決断されたことがうかがえる。それができたのは、ちゃんと仕事に向かい、やり切ったとの実感があるからでしょう。だからこそ潔く、逃げも隠れもしないで、隠居を語ることもできる。これは現役世代の憧れ、理想の形だと思います」
田村には長女がいて、2人の孫もいるそうだ。「あんまり訪ねてこないんだよ」と目尻を下げて、おじいちゃんとしての胸中を語ったほか、「実は仕事きらいなんだ」と言ったり、「海外旅行? もう仕事でたくさん行っちゃったし、もともと飛行機嫌いなんだよ」と知られざるエピソードも連発している。
横浜市郊外にある公園墓地にある墓には「田村家先祖各霊菩提」と書かれた墓石があり、「昭和六十三年吉月吉祥日建之 田村正和」と刻まれているという。「正和」だけが朱字の、いわゆる生前墓である。田村は心臓に冠動脈性心疾患という持病があり、その手術を受けたことを明らかにしつつ、「だからあまり無理はできないんです」と現在の体調を語っている。
老後も、当たり前ながら、いつも悠々自適とはいかない。そんな人生に真っすぐ向き合う姿勢は、やっぱり今も二枚目だ。