鬼滅の刃がヒット 日本名がそのまま使われた「キサラギ」
こうした状況に、2011年の出来事が懐かしく思い出される。日本映画「キサラギ」(2007年公開)が韓国で舞台化されたのだ。古沢良太のオリジナル脚本で小栗旬やユースケ・サンタマリア、香川照之らによる密室推理劇。突拍子もないストーリー展開に笑っていると、終盤でそれらがすべて伏線だったことに気付く。脚本の素晴らしさは言うまでもないが、韓国でそれほど人気とは思わなかった。当然、チケットは入手困難だった。
驚いたのは、セリフが韓国語なのに、ハンドルネームで呼び合う役名が日本語のままだったことだ。小栗旬が演じた“家元”も、塚地武雅の“ヤスオ”役も日本名のまま。ただ一人、ユースケ・サンタマリアが演じた“オダ・ユージ”役だけが“キムラ・タクヤ”になっていた。韓国で織田裕二の知名度が低いため、誰が聞いても分かる木村拓哉に変更されたという。織田裕二にとっては不本意だろうが、これは仕方ない。韓国人で埋め尽くされた客席からは笑い声が絶えず、エンターテインメントの底力を感じずにはいられなかった。
過去には“近くて遠い国”だった韓国が「冬のソナタ」で身近になったこともある。気付いたときには“喧嘩するほど仲がいい”関係になっているかもしれない。