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吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<90>野崎幸助さん宅の家宅捜索は午後になっても終わらなかった

公開日: 更新日:

「社長は遺言なんて書くタマじゃないからなあ」

「そうだよ。もし残すなら公正証書にしておくだろうに。そこになかったら遺言はないということだ。遺産はイブちゃんに残すって、いつも口にしていたから」

 Mのぼやきを受けてSさんが言った。

「遺産はいくらぐらいあるんだろう? アプリコはどうなるかな? しょうがなかったら、オレが引き受けようか」

 Mは勝手なことをSさんとしゃべっていた。

「アレだもん。だれもMさんに任せようとは思っていないのに。困ったもんだわ」

 隣の椅子に腰かけていた私に佐山さんがつぶやいた。彼女はMのことを嫌っていた。

「オレがいたころ、佐山はペーペーで何もできなかったんだから」

 そんなどうでもいい昔話を自慢げに言うのだから、佐山さんがMに好意を抱くわけがないが、Mは先輩風を吹かせて彼女に命令口調で接していた。

■遠足のように昼飯を食べながら…

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