著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<110>早貴被告の自宅マンションの家宅捜索は7時間に及んだ

公開日: 更新日:

 私が東京駅に着いたのは午後3時前だった。

「お疲れさまでした」

「おお、悪いねえ」

 東京駅の八重洲口で後輩記者のMクンが人懐っこい顔で車のハンドルを握っていた。大阪で記者活動をしていた彼は半年前に東京に居を移して講談社「フライデー」の専属記者になっていた。

「悪いけれど、江戸川区に行ってくれよ」

 助手席に腰掛けた私は住所を伝えて、Mクンはそれをナビに入れた。怒涛の1週間でやっと東京に戻ってきたが、精神的にも体力的にもいっぱいいっぱいの状況だった。

「大丈夫ですか?」

 私の顔色が悪いのを心配してくれる。

「少し無理をし過ぎたようだ。何しろこの1週間は睡眠時間が毎日2、3時間しかなかったから」

 事件後に私の携帯電話に登録していない着信がたくさんあった。複数のテレビのワイドショーからであり、新聞社や週刊誌の記者からであったようだ。

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