NHK紅白の苦悩と呪縛…高齢者を切り、多様性うたい“勝ち負け”つけた中途半端さを識者が指摘
その中途半端さが反映したのか視聴率は大惨敗。午後9時から11時45分までの第2部の平均世帯視聴率は、前年より6.0ポイント減となり、過去最低だった2019年の37.3%を大きく下回る史上最低の34.3%に(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。例年裏番組トップのダウンタウンの「笑ってはいけない」(日本テレビ系)が今回は放送されないことで、そこからの流入も期待されていたが、そうはならなかった。若い視聴者がネットフリックスなどの映像配信に流れてしまったことも一因だといわれている。
■年に一度の音楽フェスに
メディア文化評論家の碓井広義氏はこう話す。
「一年の終わりを締めくくる『歌の祭典』としての紅白はあっていいと思います。しかし、性別で紅白に分けて競い合わせたり、歌の優劣や勝敗を決めることに、多くの人が違和感を覚えるようになってきたのは事実でしょう。だからといって、楽しみにしている人も多いので、番組自体を廃止してしまう必要はない。例えるなら、紅白歌合戦は巨大な船なんです。そう簡単にカーブできない。曲がるのは少しずつです。しかし“変わらなくてはいけない”という作り手の進化への強い意志は感じました。私は結構よかったと思います」