映画「REVOLUTION+1」足立監督が見せた映画表現者の矜持…完成版に海外メディアは絶賛

公開日: 更新日:

 エンドロールがはじまると、ほぼ満員の会場から、拍手が沸き起こった。安倍晋三元首相銃殺事件の山上徹也容疑者をモデルに、足立正生監督(83)がメガホンを取った話題作「REVOLUTION+1」。その完成版がお披露目された日本外国特派員協会でのことだ。

「お兄ちゃんは、やりたいことをやったんだよね」

 主人公の妹はそう語りかけ、「民主主義を壊したのは、安倍じゃないか」といったセリフが続く。9月の国葬への反対を訴え、緊急上映イベントが開かれた際は映画製作も公開も不謹慎との批判が上がり、鹿児島の劇場は長時間の抗議電話によって上映中止に追い込まれた。海外メディアの反応が注目されたが、そうした批判の声は上がらず、主演のタモト清嵐(31)に山上徹也に共感するところがあるかとの質問が投げかけられた程度。

「意図する前に置かれてしまった環境にもがいた経験は僕にもある。ただ、僕にはまわりにすがる、話をする相手がいた」

 そんな回答を静かに受け止めていた。社会で起きた見過ごせない問題と、是非を問わずに対峙するのが映画表現者。そんな信念を語る足立監督はこう言った。

■「社会のぶざまで荒廃した姿がより明らかに」

「山上さんにとっては個人的な決起だったかもしれないが、(事件によって)底の抜けた社会のぶざまで荒廃した姿がより明らかになっている。統一教会と癒着する政界では、もはやつじつま合わせすることすらしない政治家が陰謀、策謀を繰り広げている。それを暴露したことは大いに評価しています」

 国葬の際に上映された50分の緊急特別版と、75分の完成版は印象が違うとの声には、こう答えた。

「国葬への怒りを燃やし、反対の意思を明確にするために、カットしてしまったファクターが入っているからかも知れない。統一教会に母親を奪われた主人公の家族愛、人間愛、性愛。宗教2世のみならず、この国の若者らに共通する欠落感、自分たちの存在感すら確かめられないような底抜け状況が(特別版より強く)描かれていますから」

 映画は今月24日から、横浜シネマ・ジャック&ベティなどで全国順次公開が決定。来年のベルリン国際映画祭での上映も予定しているという。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末