「うる星やつら」や「おそ松さん」手がけた布川郁司の故郷への想い
布川郁司(2022年12月25日没 享年75)
カメラマンの山岸伸、高校以来の友人で、知る人ぞ知るベルウッドレコードの伝説のプロデューサーの三浦光紀、アニメーション業界のパイオニアの布川、そして私が会食したのは昨年の7月19日だった。いずれも山形県の港町、酒田ゆかりの人間で、”酒田会”とも言うべき集まりだった。布川は私より2歳下だが、それから半年も経たずに私たちは布川の訃報に接することになる。三浦の紹介で布川に最初に会ったのは2021年の春である。場所は酒田から東京の三鷹に進出したラーメン店「満月」。
「酒田出身の私としては酒田の美しい景色、豊かな食材、酒田人の気質が表現されたアニメの企画を実現するのが夢」と言う布川と、故郷の味のラーメンを食べながら語り合った。
その時渡されたのが彼の『クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか?』(日経BP社)だった。
アニメに暗い私は、彼がつくった「ぴえろ」という会社が『うる星やつら』に関わったと言われても、あまりピンと来なかったが、社名にピエロとつけるセンスには共感した。