NHK大河「どうする家康」にもう一つの楽しみ方 日本国憲法の理想と現実が裏テーマ?
NHK大河ドラマ「どうする家康」は17日放送が最終話となる。大名の暮らしぶりを記した「慶長日記」では、家康は鯛のてんぷらを食べすぎて75歳で死去したことになっているが、ドラマでは真冬に鷹狩りに出掛けて倒れ、その2カ月後に生涯を閉じる。
狸おやじというこれまでのイメージをガラリと変え、泣き虫で優柔不断のシン家康はそれなりに楽しませたが、世帯視聴率はこれまでの62作の下から2番目と盛り上がらなかった。
しかし、ちょっと見方を変えてみると、このドラマには実は裏テーマがあったのではないか。突拍子もないようだが、日本国憲法をめぐる問題提起である。
第1話でいきなり今川義元は「武をもって治めるは覇道、徳をもって治めるのは王道。覇道は王道に及ばぬ」と説く。覇道とは武力による支配、王道は徳の政治だ。これは憲法第9条の<日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する>のことなのだろうか。
さらに、家康の正室の瀬名は第24話で「相手が飢えたるときは助け、己が飢えたるときは助けてもらう。奪い合うのではなく、助け合うのです」と武将たちを諭す。
これも憲法前文の<われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する>と重なる。