甲子園のリポートでは「負けコメントがいい」と褒められた
夏は地元高校と一緒に行くので、チームが勝ち進むとずっと甲子園にいるのですが、私が中継担当で同行するといつも負けてしまって……。
春の選抜では地元の高校についていくわけではなく、全国から呼ばれた若いアナウンサー数人が各自複数の高校を担当してリポートしていました。
担当した高校が負けてしまうと最後に「負けコメント」を言うんです。選手がアルプススタンドに挨拶に来た時に「惜しくも負けた○○高校、本当に死力を尽くして頑張りました!」と話すあのコメントです。
選手へのねぎらいの言葉でもあるのですが、私が担当した高校はあまり勝った記憶がなくて……。負けるたびにどんなコメントで選手の頑張りに報いようかと、ゲームセットからの短時間で何を伝えるか必死で考えました。
やがて「武内の負けコメントはいい」と褒められ、私は「負けコメの女王」と呼ばれるように(笑)。微妙な呼ばれ方ですが、アナウンサーとしてはこの「負け」に鍛えられました。
ただアルプススタンドで即座に考えたコメントがうまいと言われるのはうれしかったのですが、そのうち愛媛の球児たちからは「あのお姉さんが担当になると負ける」と言われたりして、私としては「えーっ!」とつらかったです(笑)。
失敗が多かった松山局での新人アナ時代を経て大阪、東京へと移るお話は次回から。
(構成=松野大介)