舟木一夫さんのファンを大切にする人柄と、噛みしめるような一言一言に「達観」を感じた
「元祖御三家」「万年青年」、79歳の現在も変わらぬ歌声を聴かせてくださる舟木一夫さん。60代半ばの私には文字通り「憧れのスター」です。
そんな舟木さんにお会いしたのは20年以上前のテレビのトーク番組でした。「神経質そうな方」という勝手なイメージを持っていましたが、打ち合わせスペースに現れた舟木さんは大きな声とこぼれるような笑顔で一礼されて「答えられることは答えますから、なんでも聞いて下さい。当たり前か!」と自らボケて大笑い。
「漫才作家」の名刺をお渡しすると「漫才にも作家がいるんですね。歌い手にとっての作詞、作曲の先生と同じですね」と言っていただき、「決まった方の漫才を書かれてるんですか?」「発注があれば誰のでも書くの? 凄いな!」と“逆取材”のように興味を持ってくださいました。この時にご自分のことを「歌手」と言わず「歌い手」と言われたことがとても印象に残っています。子供の頃からファンだったので、握手を求めると「僕なんかでよければ、ありがとうございます」と応じてくださり、予想以上に大きな温かい手で、それも両手で力強く握ってくださいました。