(14)ああ、私は「介護者」になったのだ…この気づきが生活を一変させた
母の認知症専門医院への診察が近づいてきたが、コロナ禍で熊本の実家に行くこともできず、東京で罪悪感に追い詰められた私。せめて自分のできることとして認知症について調べ始めた。しかし、検索してもなかなか自分に必要なリアルな情報は得られなかった。
すぐに、私はある単語に戸惑った。それは「介護」という言葉だ。親が認知症になったというかすかな自覚はあるものの、この時の私にはまだ、自分が「介護者」になったという自覚はまるでなかったのだ。
しかし、認知症について調べると、介護という言葉は必ずセットになって出てくる。そこで私は覚悟を決めて「介護」で検索を始めてみた。そうしたら、情報が出てくること、出てくること!世の中にはこんなにも介護する人、される人がいるのだということを初めて知ったのだった。
恥ずかしながら、介護保険についての意味も初めて知り、自分が介護保険料を支払ってきたということもここで改めて自覚した。要介護認定を受けなければ介護保険によるサービスを受けられないことや、制度が複雑で年単位で細かく変わっていることもわかった。