藤田紀子さん「今もはっきりとは見えてないんです」…「ぶどう膜炎」と付き合って20年以上

公開日: 更新日:

藤田紀子さん(タレント/75歳)=ぶどう膜炎

「自己免疫疾患からくるぶどう膜炎」と診断されたのは、今から22~23年前です。その前から直射日光に弱くて、すぐに目が充血してしまうので眼科にはかかっていたんです。当時は「虹彩炎」(ぶどう膜炎の一種)と言われたのですけど、離婚後に改めて大学病院で診ていただいたら、冒頭の病名を告げられました。そのときに「自己免疫疾患を持っているんだ」と自覚しました。だから今は視力がとても悪くて、今もみなさんの顔ははっきりとは見えてないんです。

 ぶどう膜炎は、ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に起こる炎症で、いったん炎症が起こると、どんどん目が見えなくなってしまうんですね。炎症なのでコンタクトレンズなどでは対応できません。定期的に大学病院に通って検査をして、これ以上悪くならないように対処するしかないんです。

 最近は3カ月に1度ぐらいですけど、悪いときは週1で通いました。炎症がひどいときは目にステロイドの注射を打つんです。眼底検査で「むくみが出ている」と言われると、飲むステロイドが処方されて、よくムーンフェースになっていました。

 自己免疫疾患があると本当にいろんなことが起こります。去年、入院することになった「蜂窩織炎」もたぶんそうです。傷口から菌が入って炎症を起こす病気なんです。土俵で取り組みをする力士にとっては珍しくないもので、相撲部屋のおかみだった私は、誰よりもよくわかっていた病気。足の傷や菌に対しては人一倍気を配っていました。実際、私には傷がありませんでした。どこから菌が感染したのかわかりません。だから今はこれも自己免疫疾患が関係しているんじゃないかなと、勝手に結びつけているんですけれど……。

 4年ほど前には「好中球皮膚炎症」という病気にもなりました。湿疹が首から下、全身にびっしりと出てしまったんです。

■小学校の頃から「めまい」に悩んできた

 でも一番付き合いが長いのは「めまい」です。小学生のときから年に1回、必ずめまいを起こす子供でした。母は「のりちゃんは1年に1度、“学校疲れ”が出ちゃうのね」とおおらかで、病院に連れていかれたことはありません。

 めまいで受診をしたのは結婚後です。ずっと年に1~2回の回転性めまいに悩まされていました。近所のクリニックで診ていただくと「メニエール病」と診断されました。でも特にお薬もなく、医師に言われたのは「寝不足やストレス、過度な疲労はいけない」ということだけ。

 でも当時は主婦として、母として、部屋のおかみさんとしても責任があり、本当に忙しくしていたので良くなるわけがありません。しかも親方から「泣くな、笑うな、怒るな」と言われて、うれしくても悲しくても全部堪えて暮らしていたんです。ストレスがないと言ったらウソですよね。

 余談ですけど、離婚前に一度だけ女友達4人で韓国の済州島に旅行に行って、何十年かぶりに心置きなく笑ったんです。なんでもないことがおかしくて、ずっと楽しくて、「ああ、一人ってこんなにいいんだ。私、離婚しなきゃ」って思っちゃったの(笑)。結果的にそれが離婚のきっかけになりました。

 めまいの何が厄介かといえば、いつ出るかわからないことです。朝は「今日は気分がいいわ」と思って起きても、午後に突然、目に入るものがグルグル回って天井と床の区別もつかなくなったりするのです。電話をかけられる状態ではなく、救急車も呼べません。横になるとさらにグルグルするので、症状が治まるまでじっとガマン。姿勢をまっすぐにして頭を動かさないようにソファにもたれているしかありません。

 離婚したら少し良くなるかと思ったんですけど、関係なかったようで、相変わらず突然やってきます。あまりにひどいので改めてしっかりした病院に入院して徹底的に検査したところ、今度は「良性発作性頭位めまい症」と診断されました。発作の際には処方されたお薬を飲んで吐き気を抑えています。

 良性発作性頭位めまい症は、耳の中の耳石がはがれて三半規管に入ることで回転性の強いめまいを引き起こす病気です。なぜかわかりませんが、この6~7月はよく出ました。ジッとしていられない性分も悪いんでしょうね。息子夫婦が自宅に来たときもずっとあれこれ家事をしながらしゃべっているので、「少し座ったら?」とよく言われます(笑)。

 食事に関しては17~18年間、毎日ノートに3食の内容と体重、体脂肪を記録しています。ちょっと太るとすぐわかっちゃうの。筋肉が落ちると代謝が悪くなって太るので、適度な運動を心がけています。20年以上ジムに通っているんです。ストレッチから始まってピラティスや骨盤調整のクラスなど、いろいろやっています。クラシックバレエもやっているんですよ、レオタードを着て(笑)。

 運動に限らずなんでもやり過ぎるとめまいが起こるので、ほどほどにしていますけどね。

(聞き手=松永詠美子)

▽藤田紀子(ふじた・のりこ) 1947年、大分県出身。67年に松竹芸能から女優デビュー。70年に当時、新小結だった先代・貴ノ花と結婚して芸能界を引退し、相撲部屋のおかみさんとして多くの力士を陰で支えた。2001年の離婚を機に芸能活動を再開。女優、タレント、コメンテーターとして活躍している。




■本コラム待望の書籍化!愉快な病人たち(講談社 税込み1540円)好評発売中!

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」