“いわくつき指導者”を駅伝監督に起用した日体大の窮状
大学駅伝界の監督がひとり、一線を退いた。
日本体育大学は昨4日、陸上部駅伝ブロックの別府健至監督が退任し、後任には渡辺正昭氏(日体荏原高教諭)が就任すると発表した。
別府監督は就任14年目の13年、箱根駅伝の89回大会で長らく低迷していた日体大を30年ぶり10度目の総合優勝に導いた。スピード強化を図るため、他大学に先駆けて選手をハーフマラソンに出場させるなど、指導力には定評があった。別府監督は現在、児童スポーツ教育学部准教授の立場。今回の退任について日体大は「重要なポジションであり、学部に欠かせない存在であるため、大学の判断で研究に専念してもらう」(広報課)としているが、優勝から遠ざかったことも一因だろう。
連覇がかかった14年(90回)大会は主力がこぞって卒業したこともあって3位に終わり、今年(91回大会)も選手の底上げに失敗し15位と惨敗。10位以内に与えられる来年のシード権を逃した。
一方で大学駅伝では、無名ながら就任11年目の原晋監督率いる青山学院大が10時間49分27秒の史上最速タイムで優勝。これも別府監督の退任と無関係ではないという。
後任の渡辺新監督は高校駅伝の強豪である豊川工業(愛知)監督時代の13年、選手への体罰が発覚。退職に追い込まれた過去がある。スポーツ界が暴力根絶に動く中、いわくつきの指導者を招くとは、大学の生き残りを図る日体大も背に腹は代えられないということか。