「やせ形」の体形は将来の認知症を予測するサイン!?
認知症は、前触れもなく突如として発症するわけではありません。遺伝や生活習慣など多様な要因が複雑に影響し合い、ゆっくりと認知機能が障害されていく病気です。
肥満や高血圧、糖尿病などは、認知症の危険因子として知られています。そのため、身長と体重から算出されるBMI(体格指数:米国人の平均は約28)、血圧や血糖値の変化を把握することは、認知症の兆候を早期に発見するうえで有用かもしれません。そのような中、認知症と関連する身体兆候を調査した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに、2025年2月3日付で掲載されました。
この研究では、オーストラリアと米国に在住している高齢者5390人(平均76.9歳)が対象となりました。被験者を、認知症の診断を受けた1078人と、同診断日に認知症と診断されていなかった4312人の2つの集団に分け、認知症の診断前から最大で11年間におけるBMI、ウエスト周囲径(WC)、血圧、血糖値、LDL(悪玉)コレステロール値の変化が比較されています。
その結果、認知症と診断された人では、診断されていない人に比べて、BMIやWCが統計的にも有意に低い状態にありました。例えば、認知症の診断日から7年前のBMIは、認知症と診断された人で27.5、診断されていない人で28.0、診断日のBMIは、認知症と診断された人で26.1、診断されていない人で27.2でした。一方、血圧やLDLコレステロール値、血糖値については、認知症との関連性を認めませんでした。
論文著者らは「過去10年間におけるBMIやWCの変化は、認知症の早期発見に役立つ指標かもしれない」と考察しています。