3歳で片鱗 父親が明かす「チキータ」「チョレイ」誕生秘話
体は幼稚園でも大きい方だったにしても、小学6年生で大人の勝負に割って入った実力は、宇さんの体に染みた攻撃性につながる。
初めは「正しいフォーム」だけチェックし、9歳になったとき、いまの最大の武器といわれる「チキータ」を教えた。相手のサーブに対し、バックハンドからの強い回転で打ち返す攻撃的レシーブで、「チキータバナナ」のように曲がる様子が名前の由来だが、宇さんはこう説明する。
「相手が打ちづらいということよりも、智和の攻めの姿勢をつくりたかった。攻めるレシーブ、すなわち攻撃卓球です。世界の情報は大体入ってくるので、チキータは間違いなく世界標準になる、これを打てなければ世界では戦えないと思いました」
一に勉強という家庭方針は変わらなかったが、こうして“魯迅の夢”は遠のいた。覚えが早かったからだ。
「当時は、大人でもチキータを使える選手は少なかった。体の小さな小学生では特に難しいのに、智和は『そんなことない』と言って取り組んでいました。3年くらいかかりました」