配球に変化 大谷に3勝目もたらした右ひじに優しい“新魔球”

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 ボールを人さし指と中指に挟んで抜くように投げるスプリットというこの球種は、日本では「フォーク」として定着している。評論家の権藤博氏によれば、スプリットは「魔法の球」だという。昨年、吉井理人日本ハム投手コーチとの本紙・日刊ゲンダイの対談でこう警鐘を鳴らしていた。

「スプリットは相手バッターのバットがクルクル回る。三振が取れる。だから、本来は抜群のスライダーを持っているダルビッシュも田中もこれに頼ってしまった時期がある。投げ慣れているスライダーに比べて、スプリットは肘への負担が大きく、故障のリスクが増す」

 メジャー経験者からもスプリットを多投する大谷の肘を心配する声も上がっていた。大谷が初勝利をマークした際、米通算129セーブを挙げた評論家の佐々木主浩氏(元マリナーズ)は日刊スポーツで「初球やカウントを整える球でもスプリットを使っていたし、偏った配球が目立った。あれを続けると肘に負担がかかり過ぎる」と懸念していた。

■「決め球スライダーは大正解」

 確かに、ダルも田中もメジャー移籍後はスプリットを多投して、相手のバットに空を切らせてきた。ダルはレンジャーズ時代の2013年、最多奪三振(277)のタイトルを獲得し、サイ・ヤング賞の最終候補3人に残ったが、翌年は相次ぐ故障に見舞われた。15年には腱の靱帯を修復するトミー・ジョン手術を受けた。田中にしても、1年目の14年には7月上旬までに12勝をマークしながら、右肘靱帯を部分断裂。メスは入れなかったものの、再生治療を受けて2カ月近く離脱を余儀なくされた。依然として右肘に不安を抱えているのは周知の通りだ。

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