帖佐寛章
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帖佐寛章日本陸連顧問

1930年6月、東京都生まれ。東京教育大(現・筑波大)で日本選手権800メートル、1500メートル優勝。箱根駅伝出場。引退後は順天堂大陸上部監督として箱根駅伝優勝。数々のトップアスリートを育てた。五輪監督、日本選手団副団長、神戸ユニバーシアード日本選手団長、日本陸上競技連盟強化委員長、専務理事、副会長をはじめ、日本体育協会副会長、国民体育大会委員長、国際マラソン・ロードレース協会会長などを歴任。現在は日本陸連顧問、順大スポーツ健康科学部名誉教授。

私が阻止したトレードマネー1億円 宗兄弟のダイエー移籍

公開日: 更新日:

 瀬古(利彦)とともに、マラソンの一時代を築いたのが宗茂、猛の兄弟だ。1978年の秋のこと。旭化成陸上部の大串啓二監督が会いにきた。

「帖佐さん、助けてください。宗兄弟が陸上部を辞めるといって、合宿所を出てしまいました」

 旭化成「中興の祖」宮崎(輝)社長と陸上競技部をつくった黒田副社長は、2人の「脱走」にカンカン。長距離・駅伝部の廣島日出国監督は、もう合宿所に戻らないと思ったのか、「あの2人は陸上部を辞めてもかまわない」と言って話にならない。

 私が陸上監督だった76年モントリオール五輪でコーチだった高橋進さんは廣島監督のサポートをしていたので、内情をよく知っている。「噂ではダイエーに行くみたいだ」と教えてくれた。ダイエーには中学時代からの友人がそれなりの役職に就いている。電話で聞いた。

「宗兄弟を引っ張っているのか?」

「おまえだから言うが、誘ってるよ。トレードマネーも用意した」

「いくらだ?」

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