カギは山本太郎票 IOCが気がかりな東京都知事選の「数字」
知事を決めるだけの選挙ではない。
今月5日投開票の東京都知事選。主な候補者の中で「東京オリンピック・パラリンピックの中止」を明言しているのは山本太郎氏(45)だけだ。
「世界各国のコロナウイルスの感染状況を鑑みれば、来年の五輪開催は不可能。五輪開催にしがみつけば、第2波、第3波への正常な判断が行えず、コストも余分にかかる。開催都市として、ハッキリと五輪中止をIOC(国際オリンピック委員会)に宣言(する)」と、歯切れがいい。
その公約を聞いて、ビジネス評論家の菅野宏三氏がこう言う。
「日本の完全失業率は3月の時点で2・5%とそれほど悪い数字ではなかったが、5月は2・9%。これは2017年5月以来3年ぶりの高水準です。コロナ禍で非正規雇用やパートタイムで働く人、飲食業従事者たちは大打撃を受けている。統計上の失業者には含まれない休業者らが急増。そのまま失業したケースも多い。実際の完全失業率は今、6%を超えていると思う。東京は人が多く、生活困窮者の数も比例する。『五輪より生活が大事』という声をよく聞く。五輪中止に賛同する者は予想以上に多いのではないか」
菅野氏が言うように都民の生活は今も苦しい。東京五輪が1年延期となったことで、5000億円以上ともいわれる追加経費も発生する。そのツケは、都民に重くのしかかってくる。