追悼・元PL学園監督山本泰さん 連載で語った舞台裏の数々
「もし今後、田沢がアメリカから帰ってくることがあったら、その時はウェルカムで迎えてやっていいんじゃないか。田沢に限らず、アマ選手はドラフトで指名されなければペナルティーがないのに、指名を拒否したらペナルティーになるというのは、あまりスッキリしない。メジャーと交渉するためにプロ志望届を出しているのに、指名拒否をしてはいけない、というのでは矛盾している。プロ野球からメジャー挑戦した選手はいつでも日本へ帰ってくることができるのに、指名を拒否したアマ選手は帰国してから2年、3年もプロ入りを待つのは、リスクが大きい」
くしくも今年、その田沢がBC埼玉へ入団。日本球界へ復帰したが、ルールによって3年間、NPBでプレーすることはできない。田沢は、BC埼玉の入団会見の際、「個人的にはそういったルールがなくなってくれればと思う」と言い、そしてプロ野球選手会は「田沢ルール」の撤廃をNPBに要望した。しかし、今のところ、その議論が進んでいくような気配はない。
山本さんは、こうも言っていた。
「今の時代、アマからメジャー挑戦したいという選手が増えるだろう。紳士協定というアヤフヤなものではなく、きちんとした形でメジャー挑戦できるようなアウトラインを日米間で作るべき。でないと、アマからメジャー挑戦したい、という選手が出てくるたびに、何か揉め事が起きたかのような感じになる」
実際、将来的にメジャーでプレーしたいと考えるアマ選手がいても、「田沢ルール」が足かせになり、諦めるケースが少なくない。一選手の可能性を広げるという意味でも、山本さんと同じ考えを持つ関係者は少なくないはずだ。
(「日刊ゲンダイ」スポーツ編集部)