井上尚弥が圧巻KOで日本人初の3団体統一 次なる悲願「4団体統一戦」実現はこれだけ厄介
■物足りないWBO王者
元日本ボクシングコミッション事務局長で、3万マッチを裁いたレフェリー、森田健氏が言う。
「統一戦は本当にややこしいんです。まず、各認定団体が統一戦をやらせるかどうか協議。許可が下りたら、(選手サイドが)認定団体にタイトルの承認料を払わなければならない。今回は1団体につき、500万円弱と報道されていましたが、これも特に決まった額はない。基本、階級が重いほど高い。統一戦を行うボクサーの人気、試合をする場所によっても変動する。しかも、王者の意思とは別に各認定団体の思惑も絡むので、すんなりいくかどうか……。4団体統一は名誉なことですが、実現の困難さを考えたら割に合わないかもしれません」
井上の目標はあくまで統一戦だが、その気持ちが薄れかかっているのも事実だろう。試合後、ロンドン五輪金で元WBA世界ミドル級王者の村田諒太に「今のWBOの王者(バトラー)じゃ物足りないでしょ?」と聞かれると、「今日ほどのはやっぱり……。緊張感は味わえない? そうですね」と答えていた。
もっか3階級制覇中の井上。4団体統一戦でまたぞろ足踏みさせられるようならば、早めに4階級制覇に切り替えてもいいんじゃないか。