横綱なのに照ノ富士が「勝って騒がれる」寂しさ…5連勝に同情混じりの目、今場所に有望株もなし
かつて角聖・双葉山の69連勝を止めた安芸ノ海は、師匠の出羽海親方(元小結両国)から「勝って騒がれるより、負けて騒がれる力士になれ」と諭された。時に1939年のことだった。
それから85年後。2024年7月場所は、横綱照ノ富士(32)の無傷の5連勝に沸いている。
初日に平戸海を寄り切り、明生、若元春、御嶽海と立て続けに撃破。5日目の18日は豪ノ山を立ち合いから圧倒し、押し出した。いずれも完勝とはいえ、横綱が勝って当然の相手ばかり。にも関わらず、5連勝が話題になるのは照ノ富士が満身創痍だからだ。
「両膝と腰に抱えているバクダンは、いつ爆発してもおかしくない。前に攻めている分には下半身への負担は少なく、だからこそ照ノ富士も先手先手で積極的に攻めている。仮に押し込まれるような相撲になった場合は、どうなるかとヒヤヒヤですよ。万全の頃は『勝って当然』だったが、今は『ケガを抱えて頑張っている』という同情混じりの目で見られている。称賛に値する奮闘ではあるものの、横綱に対するそれとしては寂しい限りでしょう」(ベテラン親方)