人間が面白い
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「ちあきなおみ 沈黙の理由」古賀慎一郎著
平成4年9月11日の深夜。自宅の電話が鳴った。予感を抱きつつ、受話器を取る。 「郷さん……死んじゃった」 声の主は歌手・ちあきなおみ。夫であり個人事務所の社長でもあった郷鍈治が、この日…
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「72歳、今日が人生最高の日」メイ・マスク著 寺尾まち子、三瓶稀世訳
白髪のショートヘアとスリムな長身で、72歳の今も現役モデルとして活躍しているメイ・マスクは、イーロン・マスクの母。シングルマザーとして3人の子どもを育て上げ、孫にも仕事にも恵まれている今が人生最高の…
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「黄金の60代」郷ひろみ著
1972年、「男の子女の子」で歌手デビュー、愛らしいルックスと、鼻にかかった独特の声で人気アイドルになった郷ひろみ。60代半ばを迎えた今も、スターであり続けているのには理由がある。 彼はかな…
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「心友 素顔の井上ひさし」小川荘六著
「私が臨終の際は、枕元に嫁さんと息子、それから荘六さんがいてくれたら、それだけでいい」 国民的作家、井上ひさしにそう言わしめた「心友」が、井上の没後10年に当たる今年、友だからこそ知り得た素顔…
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「バンクシー 壁に隠れた男の正体」ウィル・エルスワース=ジョーンズ著 翻訳チーム訳
バンクシーは世界中に知られた匿名のストリートアーティスト。イギリス西部の町ブリストルで育ち、壁にエアゾールスプレーで落書きするアウトローのひとりにすぎなかった彼は、オークションで作品に高値がつくアー…
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「ならずもの 井上雅博伝―― ヤフーを作った男」森功著
2017年4月24日。世界の富豪が集まるビンテージカーのロードレース、カリフォルニア・ミッレ・ミリアが開幕、参加者たちは自慢の車を駆ってサンフランシスコをスタートした。翌日、1939年型の白いジャガ…
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「ナチスが恐れた義足の女スパイ」ソニア・パーネル著 並木均訳
第2次世界大戦中、ナチスドイツ支配下のフランスで、自由のために戦った女スパイがいた。ボルティモア生まれのアメリカ人、ヴァージニア・ホール。イギリス特殊作戦執行部(SOE)の一員としてフランス・レジス…
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「昭和の名騎手」江面弘也著
戦前・戦後にわたって活躍し、引退後は競馬中継の名解説者として知られた「ナベ正」こと渡辺正人に始まり、若いファンに絶大な人気を誇ったスタージョッキー田原成貴まで、昭和の名騎手30人の騎手人生を素描した…
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「パンと牢獄」小川真利枝著
2017年のクリスマスの日、サンフランシスコ国際空港に、一人の男が降り立った。 「パラ!(お父さん)」と叫んで2人の娘が駆けだした。妻は目に涙をため、ゆっくりと夫の元へと歩いていった。夫の胸に…
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「宿無し弘文」柳田由紀子著
著者はアメリカ在住のジャーナリスト。ある禅僧の実像を追い求めて旅に出た。僧の名は乙川弘文。アップルの創業者、スティーブ・ジョブズが師と慕った人物である。 弘文は1938年、新潟県の禅寺に生ま…
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「三國連太郎、彷徨う魂へ」宇都宮直子著
俳優・三國連太郎は、戦後の日本映画界で特別の輝きを放っていた。安易に近づくと傷を負わされそうな、危険な輝きだった。映画界初の五社協定違反、3度の離婚と4度の結婚、数多の女性遍歴、息子・佐藤浩市との確…
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「渡辺錠太郎伝」岩井秀一郎著
昭和11年2月26日早朝。東京・荻窪の静かな住宅地に軽機関銃が鳴り響いた。武装した兵士たちがトラックで教育総監・渡辺錠太郎の私邸に乗りつけ、襲撃。渡辺はピストルで応戦しながら、40発を超える銃弾を浴…
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「孤塁 双葉郡消防士たちの3・11」吉田千亜著
東日本大震災と、津波による福島第1原発事故から9年が過ぎた。今、人々の関心は新型コロナウイルス一辺倒で、記憶の風化に拍車がかかっている。 あのとき、メディアは連日、福島の危機を報じた。東京消…
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「撃ち落とされたエイズの巨星」シーマ・ヤスミン著 鴨志田恵訳
2014年7月17日。ウクライナ上空を飛行していたマレーシア航空17便が武装勢力に撃墜された。乗客乗員298人は全員死亡。その中にオランダの医師でHIV研究の第一人者ユップ・ランゲとそのパートナー、…
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「いのちを刻む 鉛筆画の鬼才、木下晋自伝」木下晋著 城島徹編著
巻頭の口絵に、十数点の作品が掲載されている。最後の瞽女(盲人芸能者)、小林ハル。元ハンセン病患者、桜井哲夫。徘徊を繰り返した母、木下セキ。ケント紙に鉛筆で描かれた人物が圧倒的な存在感で迫ってくる。 …
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「古関裕而」刑部芳則著
「勝って来るぞと勇ましく」の「露営の歌」や、「若い血潮の『予科練』の」で始まる「若鷲の歌」。戦後、ラジオから流れた「鐘の鳴る丘」や「君の名は」の主題歌。甲子園で今も歌われている「栄冠は君に輝く」。東宝…
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「スノーデン独白」エドワード・スノーデン著 山形浩生訳
2009年、エドワード・スノーデンは東京にいた。横田基地内にあるNSA(アメリカ国家安全保障局)の太平洋技術センターで、システムアナリストとして働いていた。 あるとき、中国の諜報活動に関する…
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「俺のアラスカ」伊藤精一著
「オオカミの年寄りっていうのは、ものすごい利口で、何回も悔しい思いしたね、オレ」 「何十頭もクマを撃ってきているから、アラスカのクマに指名手配くってるんだな、へへへ」 命がけの狩猟の体験…
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「地質学者ナウマン伝」矢島道子著
明治8(1875)年、20歳のドイツ人青年エドムント・ナウマンは長い航海を終えて日本に着いた。彼を迎えたのは、雪をかぶった円錐形の美しい山、富士山だった。 ナウマンの名は、ナウマンゾウ化石の…
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「グレタ たったひとりのストライキ」マレーナ&ベアタ・エルンマン他著、羽根由訳
迫り来る気候危機を訴え、世界に発信し続けるスウェーデンの16歳、グレタ・トゥーンベリ。彼女はなぜ、「気候のための学校ストライキ」を始めたのか。その後に何が起きたのか。グレタの母マレーナ・エルンマンが…