演劇えんま帳
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こまつ座「太鼓たたいて笛ふいて」林芙美子の心の漂泊を大竹しのぶが絶妙に演じ切っている
2002年に初演。前回から10年ぶり、5度目の再演となるが、上演するたびに舞台のテーマと反比例するように世の中のキナ臭さが増しているようだ。 主人公の林芙美子は私生児として生まれ、養父・実母…
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なぜ「失敗」は繰り返されるのか…青年劇場「失敗の研究~ノモンハン1939~」は骨太の舞台
日米開戦前夜の1940年に各省庁、軍・日銀のエリートで設立された「総力戦研究所」が「日本必敗」をシミュレーションしたにもかかわらず、その研究成果は握り潰され、日本は無謀な戦争へと突き進んだ。劇作家・…
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流山児★事務所「田園に死す」は天野天街マジック全開!寺山修司劇世界の到達点
初演が2009年。2014年に「最終公演」と銘打ち、いったんピリオドを打った作品だが、「寺山修司没後40年」に合わせての復活再演。 寺山の同名映画をモチーフに、少年王者舘主宰の天野天街が解体…
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「テラヤマキャバレー」は脚本、演出、役者…すべてが表層的で深みに欠ける
日生劇場は1964年に寺山修司の「はだかの王様」(演出=浅利慶太)を初演した劇場であり、没後41年目に寺山修司をモデルにした作品が上演されるのは慶賀の至りだ。 物語は1983年5月3日、寺山…
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二兎社「パートタイマー・秋子」は「忖度・不正社会」をブラックな笑いで撃つ
舞台は郊外のあるスーパー。近所に大型店ができたために客離れが進み、売り上げは減少。本社から新店長・恩田(亀田佳明)が送り込まれる。彼にパートタイマーとして採用されたのが樋野秋子(沢口靖子)だ。どこか…
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「ガラスの動物園」「消えなさいローラ」不朽の名作を通して訴えた非戦の願い
「ガラスの動物園」はアメリカの劇作家、テネシー・ウィリアムズの出世作であり、自伝的色彩の強い作品だ。 物語は1930年代のセントルイスのウィングフィールド家が舞台。父は家出して不在。長男トム(…
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劇団桟敷童子「海の木馬」が告発する歴史の闇に埋もれた悲劇
戦後、福岡で起きた隠匿火薬の爆発事故を描いた「飛ぶ太陽」(2021年)で新境地を開いた桟敷童子が今回は、旧日本海軍が太平洋戦争で開発した特攻兵器「震洋」部隊の悲劇をモチーフにした戦後秘史シリーズ第2…
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膨大なセリフをものともせず主人公の多面性に迫る亀田佳明 ゴーチ・ブラザーズの「ブレイキング・ザ・コード」
主人公、アラン・チューリング(亀田佳明)は第2次世界大戦末期にドイツの暗号「エニグマ」を解読し、連合軍を勝利に導いた数学者だ。しかし、その任務は戦争が終わっても極秘にしなければならなかった。 …
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「喜劇 老後の資金がありません」で光る 小劇場育ちの俳優たちのパワフルかつ緻密な演技
2019年に発表された金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の試算によれば「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では老後の30年で約2000万円が不足する」という。その試算に先立つ…
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「文、分、異聞」63年の文学座の“黒歴史”を直視した意欲作に物足りなかったこと
1963年に起きたいわゆる「喜びの琴事件」を題材にした作品。これは、当時、文学座の座付き劇作家だった三島由紀夫の戯曲「喜びの琴」の上演をめぐって内部対立、劇団員が大量脱退した「黒歴史」ともいうべき事…
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こまつ座「頭痛肩こり樋口一葉」一葉への哀切に満ちた鎮魂歌
1984年に初演されて以来、再演を重ねている井上ひさしの人気作で、明治の小説家・樋口一葉の晩年の19歳から死後2年までを描いたもの。演出は名手・栗山民也。 父と兄に先立たれ、若くして樋口家の…
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水族館劇場「出雲阿國航海記」“まつろわぬ民”を鎮魂する2トンの滝の奔流
自らを中世の被差別民「河原者」の系譜に位置づけ、「野戦攻城」と銘打った野外テント芝居を35年間続けてきた水族館劇場。2年前から東京郊外の羽村市にある宗禅寺を新たな根拠地にしている。テントといっても鉄…
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「三十郎大活劇」舞台にみなぎる“ラブ&ピース”の反戦メッセージ
時は1930年代。とある映画撮影所。取り巻きを連れて肩で風切るように闊歩する時代劇スター・阪東春之介(近藤公園)。しかし、映画界はサイレント(無声)からトーキー(発声)へ。幼馴染みで助監督の岡村淳平…
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「奇蹟 miracle one-way tecket」物語の迷宮をさまよう浮遊感が心地よい
劇作家・北村想(作)と、このところ演出家としても目覚ましい活躍をしている俳優の寺十吾(演出)がタッグを組んだ舞台。両人とも一癖も二癖もある表現者だけに、一筋縄ではいかない舞台となった。 謎の…
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AKB48の3人が好演「ネオンキッズ」居場所のない少女たちの愛と葛藤
作・演出・出演は劇団鹿殺しの代表・丸尾丸一郎。初のオリジナルミュージカル書き下ろし作だ。 眠らない街・トーキョー。繁華街にそびえ立つ怪獣ビルの下の広場にたむろする若い女の子たち。家や学校、社…
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「hana -1970、コザが燃えた-」松山ケンイチが沖縄の怒りと苦悩を体現
脚本・畑澤聖悟、演出・栗山民也は名作「母と暮せば」のコンビ。 今年5月で沖縄返還から50年を迎えるが、本土復帰後も沖縄には米軍専用施設が集中している。しかも、日本政府は「台湾有事」をあおり、…
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世田谷パブリックシアター「彼女を笑う人がいても」権力に屈した戦後ジャーナリズムの罪を問う
気鋭の劇作家・瀬戸山美咲と日本を代表する演出家・栗山民也が今の時代状況に対して真正面から挑んだ骨太の作品。今年のベスト作品といってもいい舞台だった。 物語は現在と1960年、2つの時代を往還…
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二兎社「鴎外の怪談」現代に通じる“知識人”鷗外の苦悩と葛藤
永井愛の作・演出で2014年に初演した作品をキャストを一新しての再演。1910年、森鷗外(松尾貴史)にとって生涯大きな悔いを残す事件が起こる。管野スガ、幸徳秋水らが天皇暗殺を企てたという「大逆事件」…
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劇団俳優座「インク」 大衆の欲望と新聞の倫理の相克を鮮烈に活写
1969年のロンドン・フリート街(新聞街)を舞台に、発行部数をめぐる新聞社間の熾烈な闘いを描いたもの。大衆の欲望とメディアの倫理という極めて今日的な問題を描いたジェイムズ・グレアムの作品(翻訳=小田…
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石原さとみ、藤原竜也の軽妙洒脱な演技=さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場がシェークスピア全37作品の完全上演を目指し、故・蜷川幸雄のもとで1998年にスタート、芸術監督・吉田鋼太郎が引き継いだ企画公演の最終作。翻訳は松岡和子、演出は吉田鋼太郎。 …