松尾潔のメロウな木曜日
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10代で何かに猛烈に心を奪われた経験をもつ人へ…中森明夫著「推す力」は上質な成長譚だ
ぼくのX(旧ツイッター)で長らく冒頭に固定しているポストが、2022年9月に始まった本連載の初回の写真。そこでぼくはふたりの60代作家に挟まれている。彼らにはいくつかの共通点があるが、なかでも興味深…
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畠山理仁にしか採取できない言葉と景色が、この国にはまだまだたくさん残っている
活況を呈する政治ドキュメンタリー映画。シーンを牽引するひとりが大島新監督であることは、9月の本連載で述べた通り。彼の代表作『なぜ君は総理大臣になれないのか』や『国葬の日』のプロデュースを手がけ、とき…
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大人の恋愛を構成するものは、恋愛感情だけではない。だからおもしろい
軽井沢在住の作家・小池真理子さんを訪問したと報告した4月の本連載で、「一編の小説を書くのはそれだけで貴重な人生経験」と記した。これはぼくが一昨年(2021年)に上梓した初めての長編小説『永遠の仮眠』…
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中村うさぎ&マツコ・デラックスの掛け合いに思う…週刊誌の人生相談回答者に必要な資質と能力とは
季節外れのインフルエンザに罹患した娘に付き添って行った調剤薬局で、思いのほか待たされることになった。なかなか名前が呼ばれない。 薬剤師が先客に話す内容が聞こえてくる。今年は前例がないレベルで…
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「ジャニーズ最後の日」とダンディズムの終焉…故人たちに多くの気づきを与えられた月曜日
今週月曜(10月16日)、朝のテレビはその日が「ジャニーズ最後の日」であると報じた。翌17日付で社名が「SMILE-UP.」に変わる。それを惜しみ週末のジャニーズショップや本社ビル前に集ったファンた…
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『白鍵と黒鍵の間に』の濃厚なジャズ的リアリティ。そして「博」と「南」の間に…
ジャズを題材にした映画はとかく賛否が分かれやすいものだ。 例えば、2015年に日本公開されて評判をとったデイミアン・チャゼル監督の『セッション』。この映画をめぐっては、ジャズミュージシャン・…
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ジャニーズ会見で質問者「NGリスト」のスクープがNHKから発信された意味は途轍もなく大きい
9月の記者会見で創業者の喜多川ジャニー擴氏の性加害を認めたジャニーズ事務所が、今週月曜(10月2日)、ふたたび記者会見を開いた。14時スタートにあわせて放送された各局中継の視聴率はNHK+民放4局総…
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和田靜香さんの作品群は昭和・平成・令和の時代のスケッチとして読み継がれていく
コロナ禍の2021年、日本の政治について綴られた2冊の長いタイトルの本が出版されて話題を集めた。『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。』と『選挙活動、ビラ配りからや…
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この国の音楽業界には、こんなにカッコいい72歳がいる。
前回の予告通り、今週の日曜日(17日)、大島新監督の新作『国葬の日』上映トークイベントをポレポレ東中野で行った。そのまなざしにつよい共感を抱いてきた同世代の大島監督だが、公開の場で対談するのは初めて…
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国葬のようなものから1年、この国の大切なことはムードで決まっていく
国葬から1年が経つ。 当時「国葬なんて反対」と言うと「これは『国葬儀』であって『国葬』ではない」と糾弾する人が絶えなかった。何度か執拗に絡まれたのに懲りて、あるときからMy統一表記を「国葬の…
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佐野元春は「言葉と音楽の理想的な関係」を探求する先頭に立ち続けている
昨年、初めて国産車を買った。初めての新車でもある。五木寛之さんの影響で大学時代に中古のスウェーデン車サーブを格安で買って以来、もっぱら欧州の中古車ばかり乗り継いできた。車にとくべつ詳しいわけではない…
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ジュリー社長以下、ジャニーズ主要役員は記者会見に総登場して謝罪したらどうか
8月29日、故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受けてジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が記者会見を開き、同日発表した調査報告書(全67ページ! 事務所ホームページで閲…
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三浦英之著「太陽の子」、この書き手は愚直なまでに「ペンは剣よりも強し」を信じている
明日(8月25日)の午後、第22回新潮ドキュメント賞が発表される。候補5作品のなかでも三浦英之著『太陽の子』(集英社)に注目したい。じつは昨年10月の出版と同時に買ってすぐに読了、つよい衝撃と浅から…
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2人目の加害者になっていないか? DJ SODAさんが訴えたセクハラ被害それぞれの反応
今週月曜(8月14日)の午前中のことだ。韓国の人気DJでインフルエンサーとしても活躍中のDJ SODAさんが、自身のSNSに生々しい写真を添えて、英語・韓国語・日本語でショッキングな報告をした。前日…
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「妖怪の孫」の先行試写会で偶然並んで座った3人の1968年生まれ
本連載で3月に取りあげた『妖怪の孫』。邦画としては画期的な現役首相(=菅義偉前首相)の動向を追うドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』の内山雄人監督の後継作として、公開前から話題になっていたこの作…
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いい絵だから額装するのではない。額装してはじまる家族の物語がある
この夏はあるアルバムレコーディングに多くの日数を割いている。家族で過ごす時間はなかなか確保できず、せっかくの夏休みなのに、子どもたちには物足りぬ思いをさせているようだ。 久しぶりのオフの先週…
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シモーヌ・ヴェイユの生涯描く映画に奮い立つ 世界の地獄化を止める唯一の方法は「声を上げること」
いくたびか新作映画について語ってきたが、思うところあって紹介するのは日本映画に限ってきた。だが今回はその限定を解除したい。この洋画をひとりでも多くの方にお奨めしたい気持ちに抗えないからだ。昨年フラン…
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時代のうねりに目をつむる。それは戦うべき敵(エネミー)を見過ごすことである
15年間在籍した音楽事務所スマイルカンパニーとのマネージメント契約終了を告知するツイートから3週間近く、「スマイルカンパニー契約解除の全真相」なる扇情的な見出しがつけられた「メロウな木曜日」特別版か…
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「ムーラン・ルージュ」は搾取に命がけで抗う者たちの群像劇であると痛感した
先月末、帝国劇場で『ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル』が開幕した。上演は8月末まで続く。つまり帝劇の夏はこれ一色である。 「東宝がガチで社運をかけた」と業界人が口をそろえて言うだけあって…
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「スマイルカンパニー契約解除の全真相」弁護士を通じて山下達郎・竹内まりや夫妻の“賛成事実”を確認
おだやかな時間をこよなく愛して生きてきた。そんな自分が、55歳にもなって週刊誌記者に初直撃されようとは。ちっともメロウじゃないなぁ。短い、でもそこそこ長い人生には、時として想像もつかぬ場面が待ってい…