シモーヌ・ヴェイユの生涯描く映画に奮い立つ 世界の地獄化を止める唯一の方法は「声を上げること」
いくたびか新作映画について語ってきたが、思うところあって紹介するのは日本映画に限ってきた。だが今回はその限定を解除したい。この洋画をひとりでも多くの方にお奨めしたい気持ちに抗えないからだ。昨年フランスで国内映画として年間興行成績トップを記録した『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』がそれ。日本では7月28日(金)に東京、名古屋、京阪神で公開され、その後も全国で順次公開が予定されている。
いまの社会の「余計なことつべこべ言わずにエラい人に命じられたことを黙ってやっとけ」という空気に息苦しさを感じるあなた。「男は仕事、女は家庭」という考え方を古くさく感じるあなた。そして、今週末のスケジュールがまだ埋まっていないあなた。断言しよう。観るべし! あなたが男でも、女でも、あるいはそれ以外でもだ。
あなたひとりがこの作品を観るだけですぐに社会が変わるという道理はない。だが、あなたは変わる。観る前より心が強くなっている。この社会(世界、と言い換えてもいい)に対して、以前ほどのプレッシャーを感じずにすむようになる。社会が変わるのを待つだけじゃなく、まずは自分が変わろうよ。それだけの力がこの映画にはある。