「妖怪の孫」の先行試写会で偶然並んで座った3人の1968年生まれ
本連載で3月に取りあげた『妖怪の孫』。邦画としては画期的な現役首相(=菅義偉前首相)の動向を追うドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』の内山雄人監督の後継作として、公開前から話題になっていたこの作品は、安倍晋三元首相の闇を探ったもの。小規模の公開をリレーよろしく全国的に継続して、7月頭には観客動員数が5万人を超えた。
この種の映画としては相当なヒットと呼べるが、地上波TVのディレクターという出自をもつ内山監督は、ツイッター(現X)でヒットへの感謝を表しつつ「1億2千万人に対して、たった5万人だとも思います。果たして私達はどこまで伝えられたのか」と冷静さを失わない。
5万人のなかに1968年生まれはどれくらい含まれるだろう。2月に渋谷で催された先行試写会に出席したぼくの左隣には、作品にも登場するジャーナリストの鈴木エイトさん、右隣にはラッパーのKダブシャインさんが座った。そう、3人とも1968年生まれ。ぼく同様、Kダブさんは音楽を生業にして長いが、じつはエイトさんも20代半ばまではプロデビューを目指すパンクバンドのボーカルだったという。当時のステージネームは「セブン」で、そこからひとつ歩を進めたものが現在のペンネームという挿話がぼくは好き。