「キャプテン・フィリップス」ポール・グリーングラス監督

公開日: 更新日:

――社会で働く男のリスクとして捉えると、決して対岸の火事ではなくなってきています。

「昨今の世界情勢を捉えているのは間違いないでしょうね。海賊がソマリアの貧相な若者たちで、目的が殺しやテロではなく生活、つまり金で、元締からせき立てられて大国アメリカの船を襲っている。貧富というヒエラルキーが背景に横たわっているところといい、日本社会や周辺国との関係にも当てはまる事態と言えなくない。忍び寄ってくるリスク、危険に対して、少なくとも、頭の中で考えて、想定しておく。部下のいる立場なら、その責任を再確認しておいた方がいいかも知れません。どんなに優れた防御システムが張り巡らされていたとしても、救出を頼めなかったり、この映画のように、すぐに来てもらえるとは限らない。結局、最後は自分や部下、家族の身を守るのは自分しかいないということでしょう」

――社内のポスト争いで負けずに踏ん張ったとしても、その会社が倒産といった、覚悟や想定を超えるリスクもあります。

「理不尽で、どんなに抵抗しても突っ張っても、かなわないことはあります。そうなってしまったら潔く甘んじて、その状況をこちらからのみ込むくらいの気概で受け入れちゃう。どんな悪条件でも、不平や不満を言っているよりはマシです。ある種の諦念といいますか、僕はそういう時、こうつぶやくようにしています。『ま、いっか』『それがどうした』『人それぞれ』と。逆境に陥った時などで、状況を好転させるためにも、前向きにならなければ始まりませんからね」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    メッキ剥がれた石丸旋風…「女こども」発言に批判殺到!選挙中に実像を封印した大手メディアの罪

  2. 2

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  3. 3

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪

  4. 4

    東国原英夫氏は大絶賛から手のひら返し…石丸伸二氏"バッシング"を安芸高田市長時代からの支持者はどう見る?

  5. 5

    都知事選落選の蓮舫氏を「集団いじめ」…TVメディアの執拗なバッシングはいつまで続く

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  3. 8

    ソフトバンク「格差トレード」断行の真意 高卒ドラ3を放出、29歳育成選手を獲ったワケ

  4. 9

    “卓球の女王”石川佳純をどう育てたのか…父親の公久さん「怒ったことは一度もありません」

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方