<第1回>襲名披露は今回が“初体験”のようなものなんです
「襲名というのは役者にとって一大事業ですので、身の引き締まる思いです。なにせ芝雀を襲名したのが昭和39年で、まだ9歳の子供でした。それも父の雀右衛門襲名、兄の友右衛門襲名と同時でしたから、今回は初体験みたいなものですので、いろんな意味で緊張しておりますし、つつがなく披露興行を務めたいと祈念しております」
歌舞伎役者は普通、子供のころに名乗った芸名を20代か30代に変え、後年大きな名跡を襲名するものだが、50年以上も芝雀で通したのは稀有な例だ。
女性ファンから親しみを込めて「ジャッキー」と呼ばれていた愛着のある芸名から偉大な亡父の名跡に変わるのだ。
肉体的以上に精神的にもプレッシャーがあると推察する。歌舞伎役者の襲名というのはそれほど大変なものなのである。
(聞き手・吉川潮)