素人には藤沢周平の短編集を脚色する課題を与えるべきだ

公開日: 更新日:

碓井 最近も「北の国から」の杉田成道さんが、藤沢さんの「橋ものがたり」を映像化しましたね。藤沢作品は物語の骨格がしっかりしています。しかも、事細かな心理ではなく登場人物たちの行動が描かれていきます。その行間を読むように想像力を働かせるのは、とてもいい脚色の訓練になると思います。

倉本 そうでもしないと、本当のシナリオライターは育たない。それをいまのテレビ業界は全く分かっていないんです。

碓井 いわゆる倉本ドラマはベースとなるストーリーを作ったのも、それを撮影台本に変えたのも先生です。でも、その先には演出家や役者さんがいるわけですよね。最終的に視聴者が見るものと、もともとの脚本との間に落差が生まれたりしませんか。

倉本 その落差も予想しながら、織り込みながら書いているってことはありますね。

碓井 たとえば「やすらぎの郷」の中で、ちょっと気になった場面があったんです。藤竜也さんが演じる高井秀次(高倉健を思わせる、任侠映画などで活躍した寡黙な俳優)がやすらぎの郷に入居することになって、女性陣は喜ぶわけです。とはいえ10代、20代の女の子じゃないから、感情をむき出しにしてキャーキャー喜んだりはしないはず。それなりに見えもあるから、「あ、そうですか」って感情を抑える。本来なら内心の喜びがにじみ出ちゃうのがおかしいっていう表現にならなきゃいけないと思うんですが、オンエアを見たら、皆さん、ハシャギ回っていました(笑い)。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”