ソロデビュー…愛川欣也さんからの花束に感情の糸が切れた
新田恵利編<6>
1985年、おニャン子クラブは毎週のように、メンバーが増えていった。渡辺美奈代ちゃん、渡辺満里奈ちゃん、工藤静香ちゃんらで、芸能界で生きていこうと本気で考えているのが伝わってきた。ごく自然に主力メンバーへとなっていく。
グループは、河合その子ちゃんの「涙の茉莉花LOVE」をスタートに、ソロでのデビューがはじまる。私はおニャン子の第2弾シングル「およしになってねTEACHER」でもメインボーカルに加えてもらった。歌もダンスも得意ではなかったけれど、とても楽しかった。自然といつも笑顔になった。毎日が学園祭のようだ。
86年の元日、おニャン子で3番目に私もソロデビュー。「冬のオペラグラス」はオリコン初登場1位になった。「なるほど!ザ・ワールド」のエンディング曲にもなっていたので、「夕やけニャンニャン」の生放送中、愛川欽也さんが大きな花束を抱えてお祝いに来て下さった。
お礼をしたあと笑顔で歌わなければならないところ、私は泣き出した。誰もがうれし涙と思ったようだが、突然父が亡くなってまだ2週間だったしスタジオで応援してくれている同年代の高校生たちの中に、私の部屋に泥棒に入った子がいるかもしれない。そう思うと、父が亡くなってから抑えていた感情の糸がプツンと切れてしまったのだ。