ソロデビュー…愛川欣也さんからの花束に感情の糸が切れた
もう笑うしかない。
埼玉の実家にはほぼ毎日、24時間ファンがたむろして、多い時で数十人にのぼっていた。家の中をのぞいたり、ごみをそこらじゅうに捨てていったりする青年たちの姿は近所の方も不安にさせ、母に嫌みを言うようになる。あるファンは私を追いかけて車を暴走させ、危ないと必死に止める母の足をひいた。そんな心ない行動に、私たち家族は追い込まれた。
高校卒業を目前にしたころ、通学で乗っていた自転車のサドルを盗まれた。次に自転車本体ごと盗まれ、通学の足を奪われた。この時、付き合っていた同級生の彼が「新しいのを買うまでもないよ」と言い、彼の自転車で迎えに来てくれた。彼の腰につかまって、田んぼ一面の通学路を2人乗りで通った。風を遮るものがなく、頬を切るほど寒くて彼の背中に頬をつけた。春になれば卒業。彼は大学への進学を決めていた。私たちはお互い違う道を歩いていく。 =つづく
(聞き手・長昭彦/日刊ゲンダイ)