勘九郎の“けなげ”を見る 低迷「いだてん」を楽しむヒント

公開日: 更新日:

 そういう勘九郎の持って生まれた運命も、〈ひたむきでけなげな人物〉を演じさせたら秀逸というところにつながっているのかもしれない、と辻氏は言う。さらには、幼い頃から父に厳しく稽古をつけられてきたことも影響しているのではないかと推測する。

「勘三郎さんが、長男である勘九郎さんには特に厳しく接していたというのは有名な話ですが、勘九郎さんはどんなに叱咤されてもひたすらに食らいついた。中村屋のお家芸である鏡獅子で、我を忘れて一心不乱に舞うさまを見ると、そんな彼のこれまでの生き方が表れているように思えて、胸を打たれます。だからけなげで懸命な役を演じると、見る者の心を掴むのでしょう」

 親子そろって役者となると、親のイメージを踏襲する子供も多い。年齢を重ねた勘九郎にその可能性はあるのか。

「中村屋の総帥となった後も、勘九郎さんには、いい意味で重量感や大物感がない。非常に軽やかなんですね。それが役を演じる上で彼の強みでもある。勘三郎を襲名しても、きっと勘九郎さんには勘九郎さんの味わいが出るのでは? 彼の持ち味であるけなげさや懸命さが年を重ねてどう化けるのか、『いだてん』を見ながらそんな想像をするのも楽しみのひとつです」(辻氏)

 勘九郎の“けなげな演技”は一見の価値アリ。「近世なんて大河じゃない!」と食わず嫌いになるのは損ですよ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方